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title: "同じ香水でも、男女向けの説明で印象は変わる？"
description: "同じ香水を「女性向け」「男性向け」のブランドとして紹介すると、香りの印象はどう変わるのでしょうか。香りの男女イメージと、香りをつけた紙の触り心地を調べた実験から、言葉の影響が届く範囲を考えます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/perfume-gender-label-scent-touch/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["言葉・色・人の印象"]
type: post
lang: ja
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# 同じ香水でも、男女向けの説明で印象は変わる？

香水を嗅ぐとき、「女性向け」「男性向け」という説明は、香りの印象にどこまで関わるのでしょうか。同じ中身でも、説明を変えれば女性的、男性的という感じ方が変わり、さらに、その香りがついた物の触り心地まで変わるのでしょうか。

2021年、Sayo Isekiらは、この二つの問いを一つの実験で調べました。結果は、説明の影響がどの評価にも同じように現れるわけではないことを示しています。香りの男女イメージには差が出ましたが、香りの好みや、香りをつけた紙の触り心地の評価には、説明による有意な差が認められませんでした。

## なぜ、香りと触り心地を一緒に調べるのか

研究の背景にあるのは、香りと手触りの結びつきです。先行研究には、香りの違いによって布の柔らかさの感じ方が変わるという報告や、香りと手触りのイメージが合うと触覚的な評価が高まるという報告がありました。

そこで著者らは、香りそのものを取り替えなくても、言葉で与えた意味が触り心地の評価へ伝わるのではないかと考えました。女性的というイメージとなめらかさ、男性的というイメージと粗さが結びつくなら、女性向けと説明された香りはなめらかな紙に、男性向けと説明された香りは粗い紙に合い、それぞれの触り心地が高く評価されるという予想です。ここで扱うのは性別についての連想であり、男女に本来備わる性質を調べた研究ではありません。

## 中身は同じ香水。変えたのはブランドの説明

まず46人の大学生を対象に、市販のユニセックス香水5種類を、商品情報を伝えずに評価してもらいました。その結果をもとに、男女どちらかのイメージに偏りにくい香りとして、エルメスの「Concentré d’Orange Verte」が本実験に選ばれました。「中立的」という位置づけは、この予備調査での評価に基づきます。

本実験で分析されたのは、日本の大学生118人です。参加者は無作為に59人ずつの二つの群に分けられました。全員が、同じ香水を0.30mL含ませた試香紙を嗅ぎ、その後、一方の群は「女性向けブランドで販売されている香水」、もう一方は「男性向けブランドで販売されている香水」という説明を読みました。

続いて、香りがどのくらい男性的・女性的に感じられるかと、どのくらい好きかを9段階で評価しました。さらに、同じ香水をつけたなめらかな紙と粗い紙をそれぞれ約1分間触り、触り心地の良さ、快さ、好みを答えています。香りと手触りがどれくらい合うかも尋ねました。

## 男女イメージに差が出ても、好みには有意差がなかった

女性向けブランドと説明された群は、男性向けブランドと説明された群より、同じ香りを女性的だと評価しました。この差は統計的に有意でした。中身が同じでも、どんな商品として紹介されたかによって、香りに結びつく男女イメージが変わったのです。

一方、香りの好みの平均は、女性向けと説明された群が5.19、男性向けと説明された群が5.48で、有意な差はありませんでした。「女性的に感じる」という判断が動いたことと、「好きになる」という評価が動くことは、この実験では一致していません。

ただし、本実験には男女向けの説明をしない群がありません。説明のない状態から、それぞれの言葉がどちら向きに、どれだけ評価を動かしたかまでは切り分けられません。確かめられたのは、二つの説明を受けた群の違いです。

## 触り心地への波及は、確認できなかった

触覚の結果は、研究者の予想を支持しませんでした。女性向けの説明をすると、なめらかな紙の触り心地が相対的に高く評価され、男性向けの説明をすると、粗い紙が高く評価されるという関係は認められませんでした。紙の種類による評価の差はありましたが、ブランドの説明による有意な差も、説明と紙の種類の組み合わせによる有意な効果もありませんでした。

その手前にある「香りと手触りが合う」という判断でも、女性向けならなめらかな紙、男性向けなら粗い紙に合うという対応は確認されませんでした。つまり、説明によって香りの男女イメージは変わったものの、著者らが想定した手触りとの意味の一致が生まれ、それが触覚的な好ましさを高めるという流れは支持されなかったのです。

この点は、異なる香りを使った先行研究と分けて考える必要があります。香り自体を変える場合には、鼻で受け取る刺激も変わります。今回は同じ香りに与える説明を変えました。香りと触覚の関係に言葉の意味が関わりうるとしても、説明で生まれた男女イメージだけで、香りそのものを替えた場合と同じ効果が起こるとは限りません。もっとも、この実験だけで、両者の違いを生む仕組みまで明らかになったわけではありません。

## まとめ

著者らは、香りの感じ方に、その香りについて知った情報が関わるという先行研究を、別の香水と参加者、ブランドの説明という文脈で支持したと捉えています。同じ液体でも、どんな意味を添えて紹介するかは、香りの男女イメージを形づくる一部になりうるということです。

同時に、この研究は、イメージが変われば商品体験全体も変わる、と広げて考えすぎないための手掛かりになります。香りの好みには有意な差がなく、手触りとの相性や触り心地にも、予想された説明の効果は見つかりませんでした。香りにどんな意味を感じるかと、それをどれだけ好ましく感じるかは、別々に確かめる必要があります。

著者らは、試香できないオンラインの商品説明でも、男女に関わる言葉の使い方が重要になりうると述べています。ただし、今回の参加者は実際に香りを嗅いでおり、オンラインでの購買行動を測ったわけではありません。本実験は一つの香水と主に若い日本人大学生を対象にしています。まず読み取れるのは、男女向けの説明は香りを捉える枠組みになりうる一方、その枠組みが好みや触覚の評価にまで届くかは、別の問いとして残るということです。

## 参考文献

著者：Sayo Iseki, Kosuke Motoki, Ryosuke Sakata, Shinji Kitagami
論文名：How Semantically Labeled Scent-Gender Associations Influence the Evaluations of Scent and Texture
掲載誌：Frontiers in Psychology 12, 713329（2021年）
公開日：2021年10月21日
DOI：[10.3389/fpsyg.2021.713329](https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.713329)
原著全文：[出版社の論文ページ](https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2021.713329/full)
原著ライセンス：Creative Commons Attribution（CC BY）
