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title: "香りを強く感じるとき、脳では何が起きる？"
description: "香りの濃度と、人が感じる強さを分けて測定。46人の脳の電気活動から、å— 球と梨状皮質の間を行き来する信号を調べた研究です。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/perceived-odor-intensity-brain-oscillations/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
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# 香りを強く感じるとき、脳では何が起きる？

香りを嗅いで「強い」と感じるとき、その強さを答えているのは私たち自身です。一方、鼻に届く空気に、においの分子がどれだけ含まれているかは、機器で測れる濃度です。この二つは関係しますが、いつも一対一で対応するわけではありません。

2026年、Frans Nordénらは、人が感じた香りの強さと、嗅覚に関わる脳の電気活動を調べました。知りたかったのは、鼻からの情報を早い段階で処理する脳の領域が、分子の濃度と本人の感じた強さのどちらに対応し、領域同士でどう情報をやり取りするかでした。

## 分子の濃度、感じた強さ、脳の活動を分ける

実験では、n-ブタノール、ウンデカナール、5-ノナノンという3種類のにおい物質を、それぞれ低濃度と高濃度で使いました。アルコール、アルデヒド、ケトンという異なる種類の化合物を選び、特定の一つのにおいだけに偏らないようにしています。

においは装置から鼻へ2秒間送られ、参加者は毎回、どれほど強く感じたかを0～10の目盛りで答えました。ここでいう強さは、分子そのものの性質や、香りの良し悪しではなく、その一回で本人が感じた程度です。快・不快についても別に評価し、呼吸の様子とともに解析で考慮しました。

もう一つ測ったのが、神経の集団の電気活動です。頭皮上の64個の電極に加え、眉の少し上に置いた4個の電極から記録しました。脳の活動の振幅が大きいという表現と、本人が香りを強く感じるという表現は、異なる測定値を指します。研究では、この二つがどう対応するかを調べています。

## 46人の反応を、一呼吸の中で追う

参加者は53人で、強さの回答がほぼ変わらなかった5人と、使える脳波の試行が少なかった2人を除き、46人を解析しました。平均年齢は30歳、女性は27人でした。参加前には簡単なにおいの同定検査で、一定の嗅覚機能があることを確かめています。

一人につき、3種類×2濃度のにおいと、においのない空気の計7条件を、それぞれ20回ずつ、順番をランダムにして提示しました。予定された140試行のうち、記録の乱れなどを除いた後に残ったのは、一人あたり平均123試行です。においは自然に息を吸い始めるタイミングに合わせて届けられました。

注目した場所は、鼻の受容体からの信号を受け取る「嗅球」と、その先でにおいの情報を処理する「梨状皮質」です。どちらも脳の一部です。電極を脳内へ差し込む方法ではなく、頭のMRI画像と頭皮上の電気記録を組み合わせて、各領域の活動を推定しました。

## 脳のリズムは、本人が感じた強さとよく対応した

研究チームは、電気活動を速さの異なるリズムに分けて解析しました。比較的速いものをガンマ帯、より遅いものをベータ帯と呼びます。どちらもにおいの分子の振動ではなく、神経の集団で起きる電気活動の時間的なパターンです。

嗅球でも梨状皮質でも、これらの活動の大きさは、参加者が答えた香りの強さと有意に関連していました。たとえばベータ帯では、嗅球でにおいが届いて約0.6～1.6秒後、梨状皮質で約0.85～2秒後に関連が見られました。

一方、濃度の高低との関連は、同じ主要解析では統計基準を満たしませんでした。液体の希釈率だけでは、実際に鼻へ届く気体の濃度を正確に表せないため、研究チームは装置の出口の空気も分析しています。その実測値を使っても、主要な結果は同じでした。

ただし、これは脳が濃度を処理していないという意味ではありません。別の解析では、濃度によって早い時期の信号のパターンが異なり、一部のベータ帯にも濃度との関連が見られました。今回調べたリズムの振幅や、領域同士の連動には、濃度よりも本人の感覚が安定して表れていた、という範囲の結果です。

## 情報は、嗅球から先へ進むだけではなかった

二つの領域の活動がどれくらい連動しているかを調べると、においが届いて約0.2秒後のガンマ帯に、その回の香りを弱く感じたか、強く感じたかを見分ける手がかりが現れました。この分類では、濃度の高低ではなく、一人ひとりの回答を中央で二つに分けています。

約1秒後には、ベータ帯の連動にも感じた強さを見分ける情報があり、この時間帯の分類精度は全体で74％でした。これは、回答を二群に分けた今回の実験内の分類結果です。脳波だけから、あらゆる人の香りの強さを正確な点数で読めるようになったわけではありません。

さらに、一方の領域の過去の活動が、もう一方の後の活動をどれだけ予測するかを調べました。その結果は、速いガンマ帯では嗅球から梨状皮質へ、遅いベータ帯では梨状皮質から嗅球へ、情報が伝わるという見方を支持しました。

約1秒のあたりでは、遅いリズムのタイミングと、速い活動の大きさとの結びつきも、感じた強さに応じて変わっていました。また、電気活動が短時間だけまとまって現れる現象にも、同じ時間帯で対応が見られました。著者らは、複数の解析がそろって、嗅球と梨状皮質の往復するやり取りを示していると考えています。

## 感じた強さを、脳の中で更新している？

著者らの解釈では、最初に嗅球から送られた情報を、梨状皮質が処理し、その結果を嗅球へ返すことで、香りの強さの表現が調整されます。一呼吸の中で、情報が一方向に流れて終わるのではなく、短い時間に行き来しながら、知覚が形づくられるという考え方です。

この仕組みは、予想していた香りの強さと実際の入力との差を小さくし、周囲の濃度が変わっても、まとまりのある感覚を保つ働きに関わるかもしれません。これは著者らが提案する説明で、予測そのものを操作して確かめた実験ではありません。

情報の向きを推定した方法も、記録された信号同士の統計的な関係を見るものです。脳の一部を刺激したり活動を止めたりして、もう一方への作用を確かめたわけではありません。著者ら自身も、厳密な生物学的因果関係を実証したとはしていません。

参加者は毎回、強さを答える課題を行っているため、評価しようとする注意や予想が、活動に関わる可能性も残ります。著者らは、答えを求めずに香りを嗅ぐ条件や、少し時間を置いてから答える条件で、今後確かめる必要があるとしています。3種類の単独のにおい物質で得られた結果が、複雑な香水にもそのまま当てはまるかは、別に調べる課題です。

研究はKnut and Alice Wallenberg財団、欧州研究会議、スウェーデン研究評議会などの助成を受け、著者らは利益相反なしと申告しています。

## まとめ

鼻に届く分子の濃度と、人が感じる香りの強さ。その両方を調べた今回の研究では、嗅球と梨状皮質の電気活動のリズムに、本人が感じた強さとの明確な対応が見つかりました。嗅球のような早い処理段階にも、すでに知覚を反映した情報が現れていた点が重要です。

そして、その情報は嗅球から先へ送られるだけでなく、梨状皮質から戻る信号によって更新される可能性が示されました。「強く香る」という一瞬の感覚を支えているのは、分子を受け取る入口だけでなく、一呼吸の中で続く脳の領域同士のやり取りなのかもしれません。

## 参考文献

Nordén, F., Zanettin, I., Lundqvist, M., Arshamian, A., & Lundström, J. N.（2026）. Olfactory bulb-cortex oscillations encode perceived odor intensity rather than concentration. *PLOS Biology*, 24(5), e3003810. DOI: [10.1371/journal.pbio.3003810](https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3003810). [原著全文](https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3003810)。© 2026 Nordén et al. 原著は[CC BY 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)で公開されています。
