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title: "豆の飲料の香りと苦味は、発酵する菌でどう変わる？"
description: "69株から6株を選抜。エンドウ豆たんぱく飲料の青臭さ、苦味、うま味を、成分分析と訓練パネルで調べた発é µ研究を紹介します。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/pea-protein-fermentation-flavor/
date: 2026-10-14
modified: 2026-10-14
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# 豆の飲料の香りと苦味は、発酵する菌でどう変わる？

エンドウ豆のたんぱく質を使った飲料では、豆らしい香りや青臭さ、苦味が課題になることがあります。発酵を使えば、どんな菌でも同じように改善できるのでしょうか。

2024年の研究は、69株の微生物から段階的に候補を絞り、一部の乳酸菌などで、豆らしい香りや苦味の評定が下がり、乳製品を思わせる香りやうま味が増えることを報告しました。一方、**成分を大きく変えた菌が、必ずしもよい風味を生むわけではない**という結果も得られています。

## 香りだけでなく、味の成分まで調べる

研究の目的は、エンドウ豆たんぱく飲料に適した発酵スターターを選び、そのとき香りと味の成分がどう変わるかを調べることでした。スターターとは、発酵を始めるために加える微生物です。

青臭い揮発成分だけを追うのではなく、苦味や渋味に関わる植物由来成分、アミノ酸、たんぱく質が分解されてできるペプチドも分析しました。人が感じる風味と、機器が捉える成分変化を組み合わせて候補を選ぶ設計です。

飲料は、市販のエンドウ豆たんぱく分離物を水に分散させ、加熱殺菌して作りました。たんぱく質濃度は8.4％です。各菌に合わせて栄養を追加するなどの最適化はせず、この飲料で菌がどれくらい活動し、どんな風味を作るかを比較しています。

## 69株から17株、さらに6株へ

菌はNestléの保存コレクションから選びました。最初の69株には、乳酸菌、ビフィズス菌、バチルス属など、さまざまな種類が含まれます。

- 第1段階：72時間まで発酵させ、菌の生存・活動、pH、幅広い成分の変化を調査。経験のある5人の評価者が香りを記述し、合議で特徴を整理しました。
- 第2段階：17株を48時間発酵させ、味と香りの強度を未発酵飲料と比較し、成分分析も繰り返しました。
- 第3段階：6株に絞り、48時間の発酵で、香り成分の定量、アミノ酸やペプチド、菌数、酸性化、状態の変化まで詳しく調べました。

第2・第3段階の官能評価を担当した訓練パネルは全体で、23〜35歳の男女各7人、計14人です。味を評価するときは鼻栓を使い、香りを評価するときは外して、味と香りを区別しました。味は0〜5、香りは0〜3の強度尺度で、未発酵品を基準に比較しています。一般消費者に「どれが好きか」を投票してもらった試験ではありません。

## 苦味が弱く、うま味が強くなる菌株があった

最終候補に残ったのは、L. fermentumの2株、L. johnsonii、L. lactis、L. rhamnosus、B. longumの計6株です。同じ種でも菌株が違えば結果が変わるため、論文ではNCCという番号を付けて区別しています。

特に注目されたのは、L. johnsonii NCC533とL. fermentum NCC660でした。苦味が弱まり、うま味や塩味が強くなる方向の評定が得られました。例えば第3段階のNCC533では、未発酵品の基準が苦味2.50、うま味0.60だったのに対し、発酵品の平均は苦味1.15、うま味1.73でした。

香りでは、多くの候補で豆らしさが低く、乳製品・チーズを思わせる香りが高く評価されました。NCC660の青臭さは、未発酵基準0.80に対して平均約0.21です。ただし、全候補ですべての香調が改善したわけではなく、B. longum NCC2705の青臭さは0.85で、低下していませんでした。

これらは訓練された人による強度評定の平均です。原著は一部を「有意」と表現しますが、対応する推測統計の方法やp値が示されていないため、ここでは観察された変化の方向と大きさとして紹介しています。

## 青臭い成分が減り、乳製品らしい成分が増える

化学分析では、最終候補の6株で、ヘキサナールやベンズアルデヒドなどの量が低下していました。中でもNCC660は、ヘキサナール、ヘプタナール、アセトアルデヒドなど複数の成分を大きく減らしています。

例えば、NCC660のヘキサナールは発酵前の約1,252 µg/kgから、48時間後には約64 µg/kgになりました。青臭さや豆らしい香りを担う成分の変化と、官能評価の方向が対応する例です。

一方、NCC533では、乳製品らしい香りに関係するジアセチルとアセトインが増えました。NCC2378でもアセトインは増えましたが、ジアセチルはほぼ変わっていません。発酵で付け加わる香りも、菌株ごとに異なります。

研究では、濃度をにおいの閾値で割ったOAVも用いて、香りへの寄与候補を整理しました。OAVは成分を選ぶ手掛かりで、飲料全体の香りが何倍強くなったかを表す値ではありません。

## 苦味の低下は、「苦い物質が消えた」だけでは説明できない

味の分析からは、より興味深い結果が得られました。風味がよい方向へ変わった乳酸菌などでは、既知の苦味・渋味に関わる植物由来成分が、はっきり減っていない場合がありました。それでも、苦味の評定は低下していたのです。

NCC533やNCC660では、遊離アミノ酸、核酸関連成分、小さなペプチドの分析信号が増えていました。グルタミン酸や、うま味に関わる成分、コクとの関連が知られるペプチドなどが候補に挙がっています。

著者は、たんぱく質がほどよく分解されてできた成分が、うま味などを強め、結果として苦味を感じにくくした可能性を考えました。渋味の低下には、酸性化によるたんぱく質の凝集や、口当たりの変化も候補として挙げています。

この段階では、多くの味関連成分はピーク面積を比べた分析で、すべてを濃度として定量したわけではありません。成分を組み直して同じ味を再現する試験も必要だとして、著者は機序の確定を次の課題にしています。

## 成分を大きく変える菌が、最良とは限らない

初期の候補だったバチルス属などは、代謝物を大きく変え、苦味に関わる脂肪酸類を減らし、多くのペプチドを作りました。しかし、人の評価では苦味が強まったり、酸敗臭、便臭、革様の香りが加わったりして、望ましい風味になりませんでした。

著者は、たんぱく質の分解が進みすぎることも、不快な味につながり得ると考察しています。分析上は「苦味候補が減った」と見えても、別の苦味や香りが生まれる場合があります。**化学分析だけでなく、実際に味わう評価が欠かせない**というのが、研究全体の重要な結論です。

## 製品化に向けて残る確認

発酵によって一部の試料は固まり、液体のままのものもありました。香味がよい方向へ変わっても、そのまま飲料として扱いやすいとは限らず、酸味や食感との調整も必要になります。

また、各選抜段階の発酵は1回ずつで、最終候補は三つの段階を通じて調べられています。機器分析で同じ試料を繰り返し測る技術反復と、独立した製造の反復は別です。製造条件を変えた再現性や、消費者の好み、保存中の品質は、今後確かめる範囲に残ります。

## まとめ

69株を段階的に比較した結果、一部の乳酸菌などで、エンドウ豆たんぱく飲料の豆らしい香りや苦味が弱まり、乳製品らしい香りやうま味が増える方向の評定が得られました。NCC533とNCC660は、味と香りの両面で有望な候補でした。

改善は、青臭い成分の減少だけでなく、新たな香りや味関連成分の増加、食感の変化も含んでいました。反対に、大きな成分変化が不快な味につながった菌もあります。発酵の菌選びには、成分の分析と人の感覚を往復する評価が必要だと示した研究です。

研究費はSociété des Produits NestléとシンガポールのNational Research FoundationのCREATEプログラムが支援しました。研究当時、共著者5人はNestlé Researchに所属していました。著者らは競合する金銭的利益はないと申告しています。

**参考文献**

Spaccasassi A, et al. Screening of a Microbial Culture Collection: Empowering Selection of Starters for Enhanced Sensory Attributes of Pea-Protein-Based Beverages. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2024;72:15890–15905. [原著論文](https://doi.org/10.1021/acs.jafc.4c02316)（[大学公開全文](https://mediatum.ub.tum.de/doc/1750553/1750553.pdf)、[補足資料](https://doi.org/10.1021/acs.jafc.4c02316.s001)）。
