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title: "香りの言葉は、感じ方の地図になる？"
description: "普通話の匂い語と、実際の匂いを分類した76人の研究。言葉のまとまりと感覚のまとまりが、どこで重なり、どこで違うのかを紹介します。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/odor-language-perception-concept-maps/
date: 2026-10-12
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["言葉・色・人の印象"]
type: post
lang: ja
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# 香りの言葉は、感じ方の地図になる？

「バラのような」と、匂いのもとを挙げることもあれば、「かび臭い」のように、匂いの性質をまとめて表すこともあります。こうした言葉のまとまりは、実際に鼻で感じた匂いのまとまりと、どのくらい重なるのでしょうか。

Qiらが2026年に発表した研究は、中国語の普通話で使われる匂いの言葉と、実際の匂いの分類を比べました。対象は漢族44人とウイグル族32人、計76人です。言葉をたくさん挙げられるかだけでなく、言葉同士や匂い同士をどう似ていると捉えるかを調べ、感覚と言語から匂いの概念が形づくられる仕組みを探っています。

## 同じ言語を使う、異なる生活背景の参加者

参加者は両グループとも平均約21歳で、全員が大学教育を受けていました。漢族の参加者は広東省で募集され、ウイグル族の参加者は新疆出身で、調査時には広東省で学び、暮らしていました。後者は普通話にも習熟している人が対象です。

まず、60秒間で匂いに関わる言葉をできるだけ挙げる課題を行いました。比較のため、動物の名前を挙げる課題もあります。漢族の参加者は普通話で、ウイグル族の参加者は普通話とウイグル語の両方で答えました。

一方、実際の匂いを嗅いで説明する課題では、全員が普通話で答えています。回答全体の長さではなく、最初に出た説明語を取り出し、匂いの性質をまとめた表現、匂いのもとの名前、味や温度など別の感覚の表現、好ましさなどの評価に分けました。

## 言葉のカードと、名前のない匂いを分類する

分類の中心になったのは、普通話の9つの匂い語です。心地よい香りを示す「香」、不快な匂いを示す「臭」、魚や生肉などの生臭さに関わる「腥」、かび臭さに関わる「霉」などが含まれます。研究では、こうした匂いの性質を表す語を「抽象的な」匂い語として扱っています。

言葉の課題では、9つの語が書かれたカードを見て、対応する匂いを思い浮かべ、似ているもの同士に分類しました。実物の課題では、言葉に対応するように選んだ9種類の試料を、名前を知らせずに嗅ぎ、似た匂いをまとめました。どちらも、いくつのグループに分けるかは自由です。

試料にはバラ様、焦げた匂い、生臭い匂いなどが含まれ、容器の中身は見えないようにしました。ここで比較したのは、世界中の匂いを網羅した分類ではなく、この9語と9試料の関係です。

## 言葉を挙げる課題と、匂いを説明する課題では違いが出た

普通話で匂いに関わる言葉を挙げる課題では、漢族の参加者は平均13.84語、ウイグル族の参加者は11.59語でした。この差は統計的に有意で、とくに心地よい香りに関する多様な表現にも違いが見られました。

ところが、実際の匂いを説明する場面では、ウイグル族の参加者のほうが、一部の匂いで抽象的な表現を多く使いました。たとえば、生臭い匂いに対して、具体的なものの名前よりも、不快な匂いを広く表す語を最初に使うことがありました。

両グループとも、全体では匂いのもとを挙げる表現が最も多く使われました。言葉を思い出して列挙することと、目の前の匂いを言葉にすることは同じ課題ではなく、単語数の多さだけで表現の使い方は決まりませんでした。

事前に行った16種類の匂いの同定検査や、動物名を挙げる課題では、グループ間の統計的な差は明確ではありませんでした。ただし、これは嗅覚や言語能力のあらゆる面が同一だと証明したものではありません。

## 2つのグループの「地図」は、よく似ていた

研究者は、どの語や匂いが同じグループに入りやすいかを集計し、似ているものほど近くに置く二次元の地図にまとめました。多次元尺度法と呼ばれる分析です。脳の場所を描いた地図ではなく、分類のしかたの近さを表しています。

漢族とウイグル族の分類の対応は高く、言葉の分類を比べた相関は0.91、実際の匂いの分類を比べた相関は0.93でした。個々の配置やまとまり方には違いがあっても、グループ同士には大きな共通性がありました。

言葉の地図について、著者らは、心地よいか不快か、植物に関わるか動物に関わるか、といった軸で説明しています。これは分類結果を解釈するための軸であり、最初から参加者にその2つの基準で分けるよう指示したわけではありません。

さらに重要なのは、言葉で分類した結果と、実物を嗅いで分類した結果にも、一部の対応が見られたことです。たとえば、ウイグル族のグループでは、言葉と匂いの地図の一方の軸に有意な関連がありました。ただし、言葉の地図と感覚の地図が、すべて一致したという結果ではありません。先ほどの0.91と0.93も、この2つの課題の一致度ではなく、それぞれの課題でグループ同士を比べた値です。

## 匂いの概念には、感覚と言葉の両方が関わる

著者らは、言葉を取り出しやすいかどうかには、その言語でよく使う表現や、生活の中で経験する匂いが関わると考えています。そして、その影響は単語ひとつの使い方だけでなく、匂い同士をどんな関係にあるものとして捉えるかにも及ぶのではないか、と解釈しています。

研究の帰結は、言葉が匂いの感じ方をそのまま写すというより、感覚と部分的に重なりながら、経験や言語によってまとまりがつくられるというものです。ただし、参加者の文化や言語経験を操作した実験ではありません。今回の差を文化、言語、個々の生活経験のどれが生んだか、あるいは言葉が知覚を変えたかまでは、切り分けられていません。

対象は若く、女性が多く、普通話を使える大学教育経験者に限られます。ウイグル族の参加者が言葉を挙げる際に2言語を切り替えた影響もありえます。また、各語を代表させた1種類の試料だけで、日常の多様な匂いを捉えきれるわけではありません。

著者らは、普通話に習熟していない人や、より幅広い年齢・背景の人、日常の体験に近い刺激で確かめる必要を挙げています。この結果から、民族ごとの生まれつきの嗅覚や、言語の優劣を判断することはできません。

## まとめ

言葉を見てつくる匂いのまとまりと、実際に嗅いでつくるまとまりには、重なる部分がありました。同時に、使いやすい言葉や具体的な分類のしかたには、参加者のグループによる違いも見られました。

香りの言葉は、単に素材の名前を並べるだけのものではありません。何を似ていると捉え、どんな特徴をひとまとめにするかを知る手がかりにもなります。感覚の経験と言葉の経験を一緒に調べることが、私たちが匂いをどう理解しているかに近づく道になる、という研究です。

## 参考文献

Qi, Y., Chen, L., Zhu, Z., Wu, H., Lin, K., Zhao, J., & Zou, L. (2026). From perception to concept: a cross-cultural study of olfactory abstract concepts in Mandarin Chinese. *Humanities and Social Sciences Communications*, 13, 1122. [DOI: 10.1057/s41599-026-07501-8](https://doi.org/10.1057/s41599-026-07501-8) ／ [原著全文](https://www.nature.com/articles/s41599-026-07501-8)。原著：© The Author(s) 2026, [CC BY-NC-ND 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/)。
