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title: "慣れた香りほど、記憶の手がかりになる？"
description: "æ £れた香りは、新しく覚えたæƒ 報を思い出す手がかりになるのでしょうか。香りと図形を結びつける三つの実験から、馴染みと記憶の関係を読み解きます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/odor-familiarity-associative-memory/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
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# 慣れた香りほど、記憶の手がかりになる？

ある香りを嗅いだ瞬間に、以前訪れた場所が浮かぶことがあります。では、香りを手がかりに新しく覚えたことを思い出すときも、その香りをよく知っているほうが有利なのでしょうか。

2025年9月、ドイツのヒルデスハイム大学のMohammad Hamzelooらは、この問いを三つの実験で調べました。注目したのは、香りと図形の組み合わせを覚える課題です。以前から馴染みのある香りに加え、繰り返し嗅いで親しんだ香りが、どのような手がかりになるのかを確かめています。

## 香りから、組み合わせた図形を選ぶ

実験では、香りを嗅ぎながら、画面に映る白黒の抽象的な図形を見ます。「この香りと、この図形」という組み合わせを覚え、あとで香りを嗅いだときに、対応する図形を四つの候補から選びました。香りそのものの名前を当てるテストではなく、香りと結びつけた情報を取り出す課題です。

最初の実験では、既存の調査などをもとに選んだ、馴染みのある匂い8種類と、馴染みの薄い匂い8種類を使いました。学習中は正解・不正解を知らせ、間違えた組み合わせは正解するまで繰り返します。その後、5分間の計算課題を挟み、答えを知らせない本番のテストを行いました。

分析対象となった27人では、馴染みのある匂いを手がかりにしたほうが、図形を正しく選べ、回答も速くなりました。ただし、何に馴染みを感じるかは人によって違います。そこで次の実験では、一人ひとりの評価に合わせて匂いを選び直しました。

## 「よく知っている」は、人それぞれ

二つ目の実験では、89人を三つのグループに分けました。それぞれ「どれくらい馴染みがあるか」「これまでどれくらい嗅いだことがあるか」「ほかの匂いと見分けられる自信があるか」のいずれかを基準に、その人にとって評価の高い匂いと低い匂いを選びました。

どのグループでも、評価の高い匂いのほうが図形選択の正答率は高くなりました。馴染みがあるかどうかを直接尋ねたグループでは、その差は約10.7ポイントでした。一方、見分けられるという自信を基準にしたグループでは、回答速度の差は統計的に明確ではありませんでした。自分で感じる見分けやすさと、実際の嗅ぎ分け能力も、ここでは区別する必要があります。

## 4週間、香りに親しんでみると

もともと知っている香りが有利だとしても、それは長年の経験や、香りから浮かぶ言葉に助けられているのかもしれません。三つ目の実験では、馴染みを後から増やした場合にも違いが出るのかを調べました。

分析対象は、香りの練習をした36人と、練習をしなかった21人です。練習群は自宅で週1回、4週間にわたり、16種類の匂いを嗅ぎました。馴染みや快さ、強さなど8項目をそのつど評価する、注意を向けて嗅ぐ練習です。この段階では、図形との組み合わせは覚えません。

練習を終えたあと、実験室で32種類の匂いと図形の組み合わせを学びました。そのうち半分は練習に使った匂い、残りは使わなかった匂いです。どちらにも、当初の馴染みが高いものと低いものを含めることで、「嗅ぐ練習をすれば、どんな匂いでも手がかりとして使いやすくなるのか」を分けて調べました。

## 違いが出たのは、練習した特定の香り

練習群では、もともと馴染みの薄かった匂いのうち、練習に使ったものの正答率が、使わなかったものより約10.1ポイント高くなりました。練習をしなかった対照群の馴染みの薄い匂いと比べても、約9.7ポイント高い結果でした。これは練習前後の点数差ではなく、条件の異なる匂いやグループの間で比べた差です。

一方、もともと馴染みのある匂いでは、練習による明確な上乗せは見られませんでした。練習しなかった匂いについても、練習群と対照群の成績に明確な差はなく、効果が別の匂いに広がった証拠は得られていません。また、対照群との比較では回答速度に有意な差はなく、練習の成果は特に正答率に表れました。

練習を重ねると、匂いへの馴染みの評価は上がりましたが、快さの評価は有意には変わりませんでした。香りを知っていくことと、その香りを好きになることは、同じように進むとは限らないようです。

## 香りを知る経験を、どう捉えるか

著者たちは、繰り返し注意を向けることで、その匂いを頭の中で捉えやすくなり、別の情報と結びつける手がかりとして使いやすくなる可能性を考えています。ただし、馴染みは匂いに言葉を与えやすいこととも関係します。名前を答えさせない実験でも効果は見られましたが、心の中で言葉にしていた可能性までは分けられていません。

今回の練習は、嗅ぐだけでなく、感じ方を考えて答える作業を含みます。対照群には、それと同じ程度の注意や時間を使う別の課題がなかったため、匂いへの接触と、課題に取り組むことや期待の影響を完全には分けられません。参加者も主に若い成人で、この結果を一般的な記憶力向上や治療の効果へ広げることはできません。

香りと経験の関係を考える例として、[調香師エドゥアール・フレシェの記事](https://lechercheurdeparfum.com/edouardflechier/)では、毎朝欠かさず原料を嗅ぐ習慣を紹介しています。今回の実験が彼の技術の理由を説明するわけではありませんが、特定の香りと繰り返し向き合うことの意味を考える、身近な接点になります。

## まとめ

香りが記憶の手がかりとして働くとき、その香りをどれほど知っているかが関わっていました。今回さらに見えてきたのは、最初は馴染みの薄い香りでも、注意を向けて親しんだあとには、新しい情報との結びつきを取り出しやすくなる場合があることです。

その変化が、練習した特定の香りで確かめられた点も重要です。香りの手がかりとしての使いやすさは、その人が一つひとつの香りと重ねてきた経験によって変わりうる。今回の研究は、その経験が新しい情報を覚えて思い出す場面にどう関わるのかを、具体的な条件のもとで示しています。

## 参考文献

著者：Mohammad Hamzeloo, Luisa Bogenschütz, Ryan P. M. Hackländer, Christina Bermeitinger
論文名：Familiarity enhances the effectiveness of odors as cues in paired-associate memory
掲載誌：Memory & Cognition, 54(3), 959–979
オンライン初出日・最終版公開日：2025年9月3日（巻号：2026年4月）
DOI：[10.3758/s13421-025-01790-1](https://doi.org/10.3758/s13421-025-01790-1)
原著全文：[出版社の論文ページ](https://link.springer.com/article/10.3758/s13421-025-01790-1)
原著ライセンス：[CC BY 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)。本記事は研究内容を独自に日本語で解説したもので、原著の翻訳転載ではありません。原著の図表は使用していません。
