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title: "いったん選んだ香りは、1週間後にも好きになる？"
description: "同じくらい好きな香りから選ぶと、その後の快さ評定が変わることがあります。1週間後まで追った三つの実験から、選択・記憶・支払いの関わりを紹介します。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/odor-choice-preference-one-week/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
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# いったん選んだ香りは、1週間後にも好きになる？

どちらも同じくらい好きな香りから一つを選ぶ。その後、選んだ香りを前より快く感じることはあるのでしょうか。2012年の研究では、迷うような組み合わせから選んだ香りの快さ評定が上がり、その変化は1週間後にも見られました。

研究者が確かめたかったのは、選択後の好みの変化がどれほど続くのか、選択をはっきり覚えている必要があるのか、そして本当に選択が好みを変えたといえるのか、という三つの問題です。

## 同じくらい好きな香りから選び、もう一度嗅ぐ

最初の実験には、ジュネーブ大学の学生41人が参加しました。まず8種類の香りを嗅ぎ、快さ、強さ、なじみを評価。その結果をもとに、快さが近くて選びにくい組み合わせを2組、快さの差が大きくて選びやすい組み合わせを2組作りました。

参加者は各組から好きな方を選び、その後、8種類をもう一度評価しました。1週間後にも同じ香りを実際に嗅いで評定し、同じ組み合わせから再び選びました。「気に入っていたはず」と思い出して答えるだけでなく、その場で香りを経験する設計です。

結果は、選びにくい組み合わせで明確でした。選んだ香りの快さは初回より上がり、選ばなかった香りは下がりました。どちらの変化も、選択直後と1週間後に有意でした。もともと快さの差が大きかった、選びやすい組み合わせでは、同様の変化は確認されませんでした。

## 選択を正しく思い出せない試行でも、評定は分かれた

最初の実験では、選択を覚えている試行が多く、記憶の有無を十分に比べられませんでした。そこで、別の学生35人による実験では、評価する香りを16種類、選ぶ組み合わせを8組に増やしました。洗剤、シャンプー、花、果実、サンダルウッドなどを思わせる香りが含まれています。

初回セッションの最後には、未提示の香りも混ぜた予告なしの記憶課題を行いました。前に嗅いだかを答えた後、嗅いだと答えた香りについて、自分が選んだ側か、選ばなかった側かを答えます。

この実験でも、選びにくい組み合わせから選んだ香りの快さは、選択直後と1週間後の両方で上がりました。一方、選ばなかった香りの低下は、どちらの時点でも有意ではありませんでした。選択した側としなかった側の変化の差は、初回の記憶課題で正しく選択を答えられなかった試行だけを見ても確認されました。

重要なのは、記憶を調べた時点です。選択の記憶課題は初回セッション末に行われ、1週間後に再検査した設計ではありません。したがって、「1週間後に選択を完全に忘れていることを確認した」という読み方は避ける必要があります。

1週間後に同じ香りを選ぶ割合は、二つの実験でおよそ8割でした。初回に記憶できたかにかかわらず選択は比較的一貫していましたが、それだけで選択が原因だとは決められません。最初からあった好みの違いが残った可能性もあるからです。

## 「選んだから好き」か、「好きだから選んだ」か

最初の評定が同じでも、実際の好みが完全に同じとは限りません。評定には揺れがあるため、選択によって本来の小さな好みの差が表れ、次に測ったときに差が開いたように見える可能性があります。この方法上の問題を扱うため、研究者は三つ目の実験を行いました。

26人を募集し、機器の問題があった3人を除く23人を解析しました。まず20種類の香りを評価。その後、各試行で「次に出る香り」を知らないまま、受け取った実験用のお金から5スイスフランを払うか、払わないかを選び、続いて香りを嗅ぎました。20回のうち半分で支払うよう求められています。

香り自体はすでに一度評価したものですが、支払いを決めるときには次にどの香りが出るか分かりません。支払う選択が、その香りをもともと好きだったことを直接表さないようにした工夫です。

## 支払った不快側の香りは、より好意的な変化

解析は、各人が最初に評価した20種類のうち、相対的に不快側だった10種類に絞って行われました。お金を払って嫌な経験をすると、選択とのつじつまを合わせるために評価が変わる、という仮説に対応したものです。

この範囲では、5フランを払った香りの方が、払わなかった香りより快さの評定変化が好意的でした。差は直後にも1週間後にも有意でした。支払い選択の記憶成績は偶然水準を有意に上回らず、なじみや強さの評定にも支払い条件による有意差は見られませんでした。

ただし、原著には効果の時間変化について不整合があります。「時間と支払い条件の交互作用は有意でない」と記す一方、同じ箇所の検定値はp<.001です。各時点で条件差があったという結果は読めますが、その差の大きさが1週間ずっと同じだった、という結論までは確定できません。

## まとめ

同程度に好きな香りから選ぶと、選んだ香りの快さが上がるパターンが、直後だけでなく1週間後にも見られました。選ばなかった香りの低下は一つ目の実験では明確でしたが、二つ目では有意ではありませんでした。

初回に選択を正しく思い出せない試行でも評定の分かれ方が見られ、次の香りを知らずに支払う実験でも、不快側の香りをより好意的に評価する変化が残りました。香りの好みは固定した性質だけでなく、選ぶ経験とも関わり得ます。記憶や「自分の選択を正当化する」仕組みの説明は、これらの結果から検討される仮説です。

研究はスイス国立科学財団による感情科学研究拠点とFirmenichの研究助成を受けました。論文では著者2人が当時Firmenich所属であることを開示し、資金提供者は研究設計・解析・発表判断などに関与しなかったと記しています。

**参考文献**

Coppin G, et al. (2012). When Flexibility Is Stable: Implicit Long-Term Shaping of Olfactory Preferences. *PLOS ONE*, 7(6), e37857. [原著論文・公開全文](https://doi.org/10.1371/journal.pone.0037857)
