---
title: "鼻の片側への刺激で、目の注意もそちらへ向く？"
description: "片鼻への刺激の後、同じ側の目印への反応が速くなる時間条件がありました。七つの実験から、鼻と目を結ぶ注意のタイミングを探ります。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/nasal-cue-visual-attention/
date: 2026-10-14
modified: 2026-10-14
author: "Root"
image: https://i0.wp.com/lechercheurdeparfum.com/wp-content/uploads/2026/10/thumbnail-1200x800-196.png?fit=1200%2C800&ssl=1
categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
---

# 鼻の片側への刺激で、目の注意もそちらへ向く？

鼻の左側に刺激が届くと、直後に左側へ現れた目印への反応が少し速くなる。2021年の研究では、こうした鼻から目への注意の移動が、特定の時間間隔で見つかりました。

研究者が調べたのは、においを手掛かりに意識して何かを探す行動ではなく、鼻への刺激に引かれて視覚的な注意が向くかどうかです。七つの実験から、効果の有無には、鼻を刺激してから目印が出るまでの時間が重要だと分かりました。

## においだけでなく、鼻の刺激を受け取る仕組みに注目

鼻は、嗅覚でにおいを感じるほか、三叉神経の働きによって刺激や清涼感なども受け取ります。研究では、この三叉神経を刺激する二酸化炭素と、嗅覚・三叉神経の両方に作用するユーカリプトールを使いました。

二酸化炭素は、鼻の中で刺すような刺激を生じさせます。嗅覚の寄与が少ないため、まず鼻の刺激による注意の変化を調べるのに適しています。さらに、日常の香りにも関わるユーカリプトールで同様の現象を調べ、二酸化炭素だけに限られる結果かどうかを検討しました。

そのため、ここでいう「鼻への刺激」は、すべての香りと同じ意味ではありません。純粋な嗅覚刺激一般の効果と、鼻の刺激感を含む効果を区別することが、研究を理解する出発点です。

## 左右の鼻と、左右の目印を組み合わせる

参加者は主にジュネーブ大学の学生とその知人で、七つの実験の解析人数は、それぞれ28、27、27、20、27、27、25人でした。左右どちらの鼻に刺激が来たかを答える課題を先に行い、その成績で参加者を選んでいます。二酸化炭素の濃度は、はっきり感じられるが痛くない範囲に個別調整しました。

本課題では画面中央を見つめ、片方の鼻に刺激が来た後、画面の左か右へ120ミリ秒だけ現れる小さな目印が、縦向きか横向きかをキーで答えました。目印の向きの判断が目的で、鼻と同じ側に答える課題ではありません。

刺激と目印が同じ側の場合、反対側の場合、鼻へ清浄な空気だけを送る二つの対照条件を、各16試行、計64試行組み合わせました。鼻の刺激側は、目印の出る側を予告しません。意識して利用しても有利にならない手掛かりが、注意を引くかを見る設計です。

気流と通常の呼吸の干渉を避けるため、参加者は各試行で短く息を止めました。眼球の動きも記録し、刺激側へ実際に視線を動かしたことによる反応の速さではないかを確認しています。

## 二酸化炭素は約0.68秒と1.17秒後、ユーカリプトールは約0.61秒後

中心となる分析では、「鼻の刺激と目印が同じ側」の反応時間を、反対側の刺激条件と二つの空気条件を合わせた平均と比べました。三つの条件の一つ一つと、個別に優劣を検定した結果ではありません。

二酸化炭素では、刺激開始から目印までが約680ミリ秒のとき、同じ側の目印への反応が平均24ミリ秒速くなりました。約1,170ミリ秒のときは、約30ミリ秒速くなりました。一方、約580ミリ秒と1,870ミリ秒では、有意な短縮がありませんでした。

ユーカリプトールでは、約610ミリ秒の間隔で、同じ側への反応が平均42ミリ秒速くなりました。約830ミリ秒と1,120ミリ秒では有意差がありません。鼻への刺激が視覚的な注意を引く効果は、いつでも現れるのではなく、調べた時間条件の一部で現れました。

正答率はもともと高く、七つの実験すべてで、この比較の有意差はありませんでした。反応時間と正答率を合わせた効率の指標では、二酸化炭素の約1,170ミリ秒と、ユーカリプトールの約610ミリ秒で改善が見られました。

## 視線を動かさずに、注意が向いた可能性

眼球運動の記録では、刺激から目印までの間に、刺激側へ大きく視線を動かすという結果は得られませんでした。呼吸の記録も、指示どおり息を止めていたことを支持しています。著者らは、鼻への刺激が、目の向きを変えずに視覚的な注意の向け先へ影響したと解釈しました。

また、反応時間の短縮が見られた三つの実験で、反対側に目印が出た場合の反応を空気条件と比べても、有意な遅れはありませんでした。今回の結果では、刺激側へ注意が引かれたときの速さが目立ち、反対側へ対応する際の明確な不利益までは確認されていません。

身の回りの化学的な刺激が届いた方向へ、ほかの感覚も注意を向ける。著者らは、このような感覚間の連携が、環境中の重要なものを見つける働きにつながる可能性を論じています。

## 「効果が出る時間」をどう読むか

この研究のもう一つの目的は、注意が引かれる時間帯の手掛かりを得ることでした。ただし、時間間隔は等間隔に系統立てて変えたものではなく、二つの物質で同じ設定でもありません。間隔と一緒に鼻への刺激時間も変わっています。そのため、ユーカリプトールの方が速く作用する、二酸化炭素の方が長く効く、といった物質間の結論は出せません。

著者ら自身も、間隔だけを細かく変え、刺激時間は一定にした実験が必要だと述べています。鼻への刺激を不快に感じるか、快く感じるかの寄与も分離されていません。次は、自然に呼吸する条件や、ほかの種類の鼻への刺激でも確かめる必要があります。

左右へ短時間だけ提示した刺激と、画面上の単純な目印を使った研究なので、部屋に香りを広げれば勉強や仕事の集中力が高まる、という使い方を検証したものではありません。得られたのは、注意の「向く場所」と「向くタイミング」に関する知見です。

## まとめ

片側の鼻への刺激は、同じ側に現れた目印への反応を速めることがありました。二酸化炭素では約680・1,170ミリ秒、ユーカリプトールでは約610ミリ秒の間隔で効果があり、ほかの四つの時間設定では有意差がありませんでした。正答率の改善は確認されていません。

鼻の刺激から得られる左右の情報は、視線を大きく動かさなくても、目の注意に関わり得る。そして、その連携を捉えるには提示のタイミングが重要になる。七つの実験は、この二つの点を示しました。

**研究の背景・開示：**SNSFが支援する感情科学のNCCRと、Firmenichの研究助成を受けています。論文では、企業助成による著者1人の給与と実験材料への支援を記載し、それ以外の研究設計・収集解析・出版判断・原稿作成への追加関与はないと申告しています。研究当時、共著者3人はFirmenichに所属していました。著者らは潜在的利益相反はないと申告し、企業所属はデータ・材料共有方針への従属を変えないと述べています。

**参考文献**

Ischer, M., et al. (2021). Exogenous capture of visual spatial attention by olfactory-trigeminal stimuli. *PLOS ONE*, 16(6), e0252943. [原著論文・公開全文](https://doi.org/10.1371/journal.pone.0252943)
