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title: "ムスクに鈍感でも、あるムスクだけよく分かる人がいる？"
description: "11種類のムスクの検出閾値を32人で測ると、広い感度の傾向と、特定の二種類だけに敏感な小群が見つかりました。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/musk-specific-sensitivity-profiles/
date: 2026-10-14
modified: 2026-10-14
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
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# ムスクに鈍感でも、あるムスクだけよく分かる人がいる？

「ムスクの香りがよく分からない」と感じる人でも、あるムスクだけは薄い濃度から気づくことがあります。1996年の研究では、11種類のムスクを調べた32人の中に、多くには比較的鈍感でも、特定の二種類には敏感な人たちが見つかりました。

この研究の主眼は、鼻のよさを一つの数値で決めることではなく、人ごとに複数の香料への感度を並べ、共通するパターンを探すことでした。

## 11種類のムスクで、においに気づく濃度を測る

対象は、新聞広告で募集した19〜40歳の非喫煙者32人で、男性16人、女性16人でした。嗅覚や鼻呼吸に問題がないと自己申告した人たちです。特定のムスクへの感度を基準に選抜した集団ではありません。

試したムスクは、ムスコン、シベトン、エチレンブラシレート、ガラクソリドなど、香りはムスク系でも構造が異なる11種類です。比較用にムスク以外のフェニルエチルアルコールも使いました。香料を薄めた瓶と溶媒だけの瓶の二つを嗅ぎ、どちらににおいがあるかを答える方法で検出閾値を測っています。

2回続けて正答すると薄くし、誤答すると濃くする操作を繰り返し、安定した応答から閾値を求めました。香料は4回のセッションに分け、同じ香料の瓶を連続使用しないよう二組を交互に使いました。香料間には少なくとも10分の休憩があります。測ったのは、においの存在に気づく濃度で、好き嫌いや香りの強さの順位ではありません。

## 多くの人は広く敏感か、広く鈍感だった

香料ごとに開始濃度や気化のしかたが違うため、研究者は閾値の数字をそのまま香料間で比べる代わりに、各香料について32人の感度を順位にしました。その順位の並びが似ている人を、統計的にまとめています。

大きな群は二つでした。12人はムスク全体に比較的敏感な側、16人は比較的鈍感な側にまとまりました。全員がまったく同じ感度という意味ではなく、11種類を横断して見ると、似た傾向があったという結果です。

さらに、ムスク全体の平均感度順位と、比較用のフェニルエチルアルコールへの感度順位には正の関連が報告されました。著者らは、ムスクだけに限らない、より全般的な嗅覚感度の違いも関わると考えています。ただし比較に使った非ムスクは一種類で、すべてのにおいへの感度を測ったわけではありません。

## 特定の二種類だけに敏感な、小さな二群

残る4人は、2人ずつ別のパターンを示しました。一方はシクロペンタデカノンとムスクキシロールに、もう一方はデルタ9-ヘキサデセノラクトンとトナリドに高い感度を示しました。ほかのムスクの多くでは、比較的鈍感な側にいました。

このような組合せは、「ムスクが分かる人／分からない人」という二分だけでは捉えられません。たとえばあるムスクへの感度が低くても、構造の違う別のムスクでは高い順位になることがあるのです。研究者は、この二つを複数のムスクに対する特異的な高感度のパターンとして、仮の名称を与えました。

一方、延べ352回のムスク閾値測定のうち18回では、試した濃度範囲で閾値を得られませんでした。このような例は、全体に敏感な群より、鈍感な群や混合した感度の群に多く見られました。特定のムスクに高感度な人でも、別のムスクを検出しにくいことと両立しています。

## 遺伝子や受容体とのつながりは、次の研究への仮説

著者らが目指したのは、将来、嗅覚受容体や遺伝子の違いと結びつけて検討できる、感度の特徴を数値で定義することでした。全般的な感度には、鼻の構造、嗅細胞の数、受容体の発現などが関わる可能性を挙げています。特定のムスクだけに敏感なパターンには、受容体遺伝子やその働き方の違いを仮説として提示しました。

今回の実験は閾値測定と統計的な分類で、遺伝子検査や受容体の測定は行っていません。特徴的な群は各2人と小さく、偶然に生じた分類の可能性も原著で議論されています。一般の人の何％がこのタイプに当てはまるかを示す調査としても扱えません。

原著の全般的感度の相関については、相関係数・人数とp値の記載が整合しないため、厳密な有意性の数値には留保が必要です。感度の広い傾向と成分別の例外を同時に調べるという、研究の考え方に注目するのが適切です。

## まとめ

32人の多くは11種類のムスクに対して広く敏感か、広く鈍感なパターンを示しました。その一方で、多くのムスクには鈍感でも特定の二種類には敏感な人が、二組見つかりました。ムスク以外の比較香料との関連も、全般的な感度が重なっている可能性を示しました。

「ムスク」という一つの香りの呼び名の中にも、人ごとの感じやすさの違いがあります。一つのムスクが分かりにくいという経験だけで、ほかのムスクも同じだと決めつけないための手がかりになる研究です。

研究時の著者所属は2人ともGivaudan-Roure Fragrancesと記載され、筆頭著者には掲載時の移籍先としてSynestheticsの注記があります。原著に独立した研究資金・利益相反の声明は見当たりません。

**参考文献**

Gilbert AN, Kemp SE. Odor Perception Phenotypes: Multiple, Specific Hyperosmias to Musks. *Chemical Senses*. 1996;21(4):411–416. [doi:10.1093/chemse/21.4.411](https://doi.org/10.1093/chemse/21.4.411)
