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title: "ミルクを入れるとコーヒーの香りが変わるのはなぜ？"
description: "ミルクå ¥りで鼻から出る香気成分を調べると、多くは差がなく、一部だけが減りました。成分を補う官能試験から、コーヒーらしさの変化を探ります。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/milk-coffee-retronasal-aroma-release/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# ミルクを入れるとコーヒーの香りが変わるのはなぜ？

コーヒーにミルクを入れると、苦味や見た目だけでなく、飲んだときの香りも変わります。2015年の研究では、ミルク入りで「コーヒーらしい香り」が弱く感じられる一方、鼻から出る香気成分の多くには、有意な量の差がありませんでした。変化したのは、一部の成分です。

そこで研究者たちは、減った成分を手掛かりに二つの香気成分を補い、コーヒーらしい香りが強まることを確認しました。香り全体が一様に薄まるというより、重要な成分の届き方が変わる可能性を探った研究です。

## カップの上の香りではなく、飲んだ後の呼気を測る

香りは鼻先から嗅ぐだけでなく、飲食物を口に入れた後、喉の奥から鼻へ抜ける経路でも感じます。この研究は、コーヒーを飲んだ後に鼻から吐き出す息を集め、どんな成分がどれほど出てくるかを調べました。

中煎りのコロンビア産アラビカ豆から抽出したコーヒー100gに、水100gを加えたブラックと、牛乳100gを加えたミルク入りを比較しました。コーヒー抽出液の量はそろえており、ミルク入りだけを余計に薄めた比較ではありません。牛乳は乳脂肪分3.5％以上の市販品で、飲料は室温にして用いました。

訓練された3人が30mLを口に含み、1〜2秒後に飲み込み、その後の10呼吸を捕集しました。1人につき各条件7回ずつ測り、ガスクロマトグラフィー・質量分析で成分を比較しています。この呼気の測定値は、鼻の嗅覚受容体に届く瞬間の濃度そのものではありませんが、飲食中に口から放出される香りを調べる手掛かりになります。

## 39成分の多くは有意差なし、3成分は3人とも低下

分析できた39成分の放出量には個人差がありました。多くの成分では、ブラックとミルク入りの差は有意ではありませんでした。一方、3人全員で有意に低下したのは、フルフリルメチルスルフィド（FMS）、ジフリルメタン、フルフリルピロールの3成分でした。

特にFMSのミルク入りでの量は、ブラックを1とすると、3人それぞれ0.52、0.48、0.51で、ほぼ半分でした。ほかにも、一部の参加者では低下した成分があり、ミルクの影響は成分と人によって異なりました。

低下した3成分は比較的油になじみやすい性質を持ち、乳脂肪が香りの放出に影響するという先行研究に合います。ただし、同じように油になじみやすいほかの成分には、有意な低下がないものもありました。脂肪へのなじみやすさだけで、結果のすべてを説明することはできません。

## 測れたFMSから、重要なFFTの動きを考える

研究者たちがさらに注目したのは、2-フルフリルチオール（FFT）という、コーヒーの香りに重要な成分です。先行研究では、FFTは口の中を通る間にFMSへ変わることが報告されています。したがって、鼻から出るFMSには、最初から飲料にあるFMSに加え、FFTから生じた分も含まれると考えられます。

今回、ミルク入りでFMSが減ったことは、FFTの放出も減っていた可能性を示す手掛かりになります。ただし、FFTの減少量を直接測った結果ではありません。

著者たちは、乳脂肪の影響に加え、FFTがカゼインなどの乳タンパク質と反応し、香りとして放出されにくくなる可能性も考察しました。この反応経路は本研究では直接確かめておらず、測定結果を説明する仮説です。

## 二つの成分を補うと、コーヒーらしさが強まった

次の段階では、香りを取り除いたコーヒーにFMSを加える試験などを行い、もともとのFMSの放出と、FFTに由来すると考えられる分を検討しました。この添加量調整の呼気分析は、訓練された1人で行っています。

その結果、ミルク入りコーヒーにFFTを80ppb、FMSを10ppb加えると、呼気に出るFMS量がブラックに近づく条件が得られました。次に、この調整したミルク入りと、未調整のミルク入り、ブラックを、訓練経験のある31人が飲んで評価しました。

色の影響を抑えるため暗い部屋の赤い照明下で提示し、未調整のミルク入りの「コーヒーらしい香りの強さ」を4として、7段階で比べました。ブラックは未調整のミルク入りより強く、成分を補ったミルク入りも未調整品より有意に強くなりました。ブラックと調整品の間には、有意差が検出されませんでした。

この結果は、一部の成分の届き方を補うことで、コーヒーらしい香りの知覚を変えられることを支持します。ただし、FFTとFMSを一緒に加えた比較なので、FFTだけの効果を切り分けたものではありません。また、好みやおいしさ全体ではなく、コーヒーらしい香りの強さを評価しています。

## まとめ

ミルク入りコーヒーでは、鼻から出る39成分の多くに有意差がない一方、FMSなど3成分は3人全員でブラックより少なくなりました。さらにFFTとFMSを補ったミルク入りは、未調整品よりコーヒーらしい香りが強く感じられました。

飲み物の香りは、液体に含まれる成分の一覧だけで決まらず、口の中での変化や、鼻へ抜けるまでの放出にも左右されます。今回の結果は、ミルクによる香りの変化を、一部の重要な成分の動きから考える手掛かりです。温かいコーヒーや別の牛乳、より多くの人でどうなるかは、さらに確かめる必要があります。

著者3人と官能評価の31人は、研究当時、小川香料に所属していました。独立した研究資金・利益相反の申告欄は確認できませんでした。

**参考文献**

Itobe, T., Nishimura, O., & Kumazawa, K. (2015). Influence of Milk on Aroma Release and Aroma Perception during Consumption of Coffee Beverages. *Food Science and Technology Research*, 21(4), 607–614. [doi:10.3136/fstr.21.607](https://doi.org/10.3136/fstr.21.607)（[原著全文](https://www.jstage.jst.go.jp/article/fstr/21/4/21_607/_html/-char/en)）
