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title: "調香師ではない千人は、香料をどう感じる？"
description: "一般の人1,119人が、1人10種類ずつ香料を評価。2025年のå ¬開データから、感じ方を自由な言葉で集める意味と、快さ・強さの安定性の違いを読み解きます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/laypeople-74-odor-perception-dataset/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["言葉・色・人の印象"]
type: post
lang: ja
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# 調香師ではない千人は、香料をどう感じる？

同じ香料を嗅いでも、「花のよう」「甘い」「洗剤を思い出す」と、言葉は人によって変わります。香りの特徴を説明するとき、専門家の豊かな語彙は役立ちますが、ふだん香りの訓練をしていない人が何を感じるかも、別に確かめる必要があります。

2025年、Antonie Louise Bierlingらが公表したのは、一般の人が実際に香りを嗅いで答えた、大規模な公開データです。全体で74種類の単一分子からなるにおいを扱い、主な健常参加者は1,119人。専門家以外の感じ方を、自由な言葉と共通の評価尺度の両方で記録しました。

## 一般の人の感じ方も記録するために

この研究の出発点は、分子の性質と、人が感じるにおいの関係を調べることです。ある分子がなぜ甘く感じられるのか、どのくらい心地よく感じられるのか。その対応を考えるには、分子についての情報だけでなく、人が実際にどう受け取ったかというデータが必要になります。

著者らが課題に挙げたのは、既存の香りデータの多くが、訓練された専門家の評価に依存していることでした。専門家の判断は大切ですが、少人数の専門家が付けた一つの説明だけでは、一般の人たちの間にある違いまで見通せません。また、最初から選択肢を見せると、その言葉を手掛かりに香りを考える可能性があります。

そこで今回は、まず選択肢なしでにおいを説明してもらい、その後に同じ尺度で評価してもらいました。自由記述は、その人が自分から思い浮かべた印象を残すため。共通の尺度は、参加者や分子の間で比べられるようにするためです。この二つを組み合わせた点に、データの価値があります。

## 74種類を、1人10種類ずつ分担して嗅いだ

主な調査では、1人に渡したのは10種類のにおいです。全員に共通する2種類と、グループごとに異なる8種類を組み合わせました。九つのセットに分けることで、1人の負担を抑えながら、研究全体として74種類を扱う設計です。1,119人全員が74種類すべてを嗅いだわけではありません。

健常参加者のうち875人は自宅で、244人は実験室で評価しました。ほかに嗅覚が低下した患者48人と、再検査を行う別の健常参加者60人が含まれ、論文全体の掲載標本は1,227人です。再検査の60人は6種類のにおいを約1週間あけて2回評価しました。

評価は、自由記述に続いて、快さ、なじみ、強さ、刺激感、食べられそうか、嫌悪感、温かさ、冷たさの8尺度で行われました。さらに、甘い、果物、花、木、ムスクなど16の説明語が当てはまるかを答えています。調査はドイツ語で実施されました。

全員に共通する2種類は、別々のグループを比べるための基準にもなります。各グループがまったく別のにおいだけを嗅いだ場合、評価の差がにおいによるものか、参加者や測定条件によるものか判断しにくくなるためです。

## 「快さ」は比較的安定し、「強さ」は条件の違いが出やすかった

この論文は、香りで何かを改善する効果を検証した試験ではありません。データの作り方と、その確かさを報告する「Data Descriptor」という形式です。重要な結果は、得られた評価が別の調査や別の日の評価とどのくらい対応するか、という検証にあります。

先行する一般参加者のデータと共通する56種類のにおいを比べると、快さの順位には0.68の相関がありました。なじみや強さなどにも正の関連が見られましたが、温かさと冷たさには明確な対応が見られませんでした。つまり、どの印象を尋ねるかによって、調査を越えて一致する程度が異なります。

約1週間後に同じ人へ再び尋ねた検証でも、評価項目による違いがありました。6種類を合わせた相関は快さが0.81、強さが0.63でした。快さの評価には比較的強い安定性が見られた一方、強さはそれより変動しやすかったのです。ただし、0.81は「81％の人が同じ答えをした」という意味ではありません。評価の高低が2回の測定でどのくらい対応したかを表します。

自宅と実験室を共通の2種類で比べると、自宅の参加者はにおいをやや弱く評価しました。快さなどには明確な差が見られず、測る場所の影響もすべての尺度に同じように現れたわけではありません。

## 大人数になっても、ひとつの「正しい感じ方」にはならない

今回のデータは、平均的な印象を調べると同時に、回答のばらつきを調べる土台になります。たとえば、ある説明語を何人が選んだかを見れば、一つの分子を一つの言葉だけで固定するよりも、感じ方の広がりを捉えやすくなります。

ただし、参加者は若く教育水準の高い人に偏っており、ドイツ語での結果を日本語の話者や幅広い年齢層にそのまま当てはめることはできません。自宅と実験室では参加者や扱うセットが異なり、募集時期も同一ではありません。自宅で弱く評価された理由を、場所だけの効果と決めることもできません。

また、単一分子のにおいを評価した結果なので、いくつもの香料を組み合わせた香水全体の好みを直接予測するものではありません。濃度や組み合わせが変わったときにも同じ印象になるかは、別に確かめる必要があります。

## まとめ

この研究が整えたのは、一般の人の香りの感じ方を、大人数の実際の嗅覚評価から調べられる基盤です。自由記述と共通尺度を組み合わせることで、自分から思い浮かべた言葉と、人と比べられる評価の両方が残されました。

検証では、快さなどに一定の安定性があることと、評価する側面や条件によって一致度が異なることが確かめられました。この土台があれば、分子のどんな性質が感じ方と結びつくのか、その結びつきが人によってどう違うのかを、より細かく調べられます。香りに一つの説明を付けるだけでなく、分子の性質と、多くの人の感覚の広がりを結ぶ研究へ進むための資料です。

**参考文献**
Bierling, A. L., Croy, A., Jesgarzewsky, T.ほか（2025）A dataset of laymen olfactory perception for 74 mono-molecular odors. Scientific Data, 12, 347.
DOI：[10.1038/s41597-025-04644-2](https://doi.org/10.1038/s41597-025-04644-2)
原著全文：[Scientific Dataの公開全文](https://www.nature.com/articles/s41597-025-04644-2)
権利表記：原著は[CC BY 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)で公開されています。
