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title: "人とハエでは、フルーツ香の「似た者同士」が違う？"
description: "人の分類とハエの交差順応を比べると、においの強弱にはå ±通点がある一方、似た香りのまとまりには違いがありました。二つの行動測定と受容体欠失の実験も紹介します。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/human-fruit-fly-odor-similarity/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["花・植物・生き物"]
type: post
lang: ja
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# 人とハエでは、フルーツ香の「似た者同士」が違う？

人が似ていると感じる香りを、ショウジョウバエも同じようにまとめるのでしょうか。2007年の研究では、においの強弱には人とハエで共通する傾向がある一方、「似ているにおい」のまとまりには違いが見られました。

研究者たちは、ハエ一匹ずつの動きを測る二つの実験法を作り、多種類のにおいへの反応、特定の嗅覚受容体を失った影響、人との比較を調べています。香りの性質は分子だけでなく、それを受け取る嗅覚の仕組みによっても変わるのか、という研究です。

## ハエには、言葉の代わりに行動で答えてもらう

人には「どちらが強いか」「どれとどれが似ているか」と聞けます。ハエについては、そのまま同じ質問ができないため、研究者たちは二種類の行動測定を用意しました。

一つ目は、丸い容器の中のハエに、きれいな空気を2分間、その後ににおいを含む空気を4分間流す方法です。動画から移動量を測り、においが来たときに活動がどれだけ変わるかを調べます。

二つ目は、シャーレの壁ににおい試料を置く方法です。ハエの位置を3分間追跡し、におい源からの距離がどう変わるかを測ります。空間全体ににおいが来る場合と、近づいたり離れたりできる場合では、同じにおいへの反応も違い得ます。

## 果物の香り以外にも、幅広く反応した

二つの方法を合わせると、試した73種類のうち70種類でハエの行動に反応が見られました。果物に含まれるアルコールやエステルだけでなく、植物に由来するさまざまな構造の物質にも反応しています。

空気を流す実験では、62種類中44種類で有意な反応があり、におい源を固定する実験では69種類中61種類でした。最初に活動が増えてから落ち着くにおい、反応が続くにおい、時間とともに活動が増すにおいなど、時間経過にも違いがありました。

また、主な嗅覚器官である触角を取り除いても、別の嗅覚器官である小顎鬚が残ったハエは、試した59種類の約61％に反応しました。少数の受容体でも、かなり幅広いにおいに対応できる可能性を示しています。

この研究では、果物のにおいだけを扱う狭い嗅覚像は支持されませんでした。同時に著者らは、あるにおいがハエにとって必ず魅力的、必ず嫌なものと決まるわけではなく、濃度、空腹などの状態、測定する課題によって反応が変わると指摘しています。

## 受容体を一つ失っても、予想通りの変化とは限らない

次に、特定の嗅覚受容体を持たないハエを調べました。Or22aを含む遺伝子領域を欠くハエでは、23種類のうち、1-ヘプタノールに対する行動反応が低下しました。これはOr22aを特に強く刺激する分子ではなく、比較的弱い刺激でした。強く刺激するエステル類では、同じような低下が見られませんでした。

別の受容体Or43bを欠くハエでは、29種類のうちD-カルボンとL-リモネンへの反応が、逆に大きくなりました。鏡像の関係にあるL-カルボンやD-リモネンでは、この変化が見られませんでした。

受容体を失えば、その受容体が最もよく反応するにおいへの行動が最も弱くなる、という単純な対応ではなかったのです。著者らは、複数の受容体が同じ分子に反応して補い合うことや、入力の組み合わせが変わることを説明候補に挙げています。この試験濃度での行動結果であり、別の濃度なら受容体を失う影響が異なる可能性もあります。

## 強さの順位は、72％の比較で一致した

人の実験では、29人が試料瓶を弱いものから強いものへ並べました。ハエ側では、においを流したときの移動量の変化を、強さの指標として使います。

同じ化学的なグループの中で二つの物質を選び、どちらが強いかを比べると、人とハエの順位は72％の比較で一致しました。例えばアルデヒドと酢酸エステルでは、蒸発しやすい物質ほど強い側になりやすい傾向が、両者に見られました。一方、アルコールでは反対方向の傾向がありました。

例外もあります。1-ヘプタノールは人には強く感じられましたが、この空気を流す条件でハエの有意な行動反応は見られませんでした。酢酸メチルはハエの反応が大きく、人の順位では弱い側でした。

72％は、人とハエが香りを全体として同じように感じる割合ではありません。人の強度順位と、ハエの活動量による指標を、同じ化学群内の強弱の組み合わせで比較した結果です。

## 「似ている香り」のまとまりには違い

似かたの比較には九つのにおいを使いました。参加者27人は、似ていると感じる試料瓶を自由にグループ分けします。言葉の候補を選ばせるのではなく、グループの数も参加者が決めました。

ハエには、一つのにおいを30分間経験させた後、別のにおいへの反応を測りました。一方への順応がもう一方への反応をどれほど変えるかという「交差順応」を使って、におい同士の関係を推定したのです。

わかりやすい例は、ヘキサン酸エチルです。人の分類では、この物質は他のエステル類とは別のグループに置かれやすく、分類の43％で単独のグループに置かれました。一方、ハエの交差順応に基づく分析では、酢酸ブチル、酢酸イソアミルと近いまとまりを作りました。

この三つは論文でバナナ様の香りとして扱われていますが、ハエが「バナナ」と認識したことを測った実験ではありません。また、ハエの分類図で統計的に安定していたのは主にこの三つのまとまりで、枝分かれ全体を確定的に読むことには限界があります。

人は直接のグループ分け、ハエは順応後の行動変化と、測定法そのものも異なります。その条件を踏まえ、著者らは、異なる受容体の組み合わせを持つ動物では、においの似かたも異なり得ると考えています。

## まとめ

新しい二つの行動測定により、ショウジョウバエは73種類中70種類のにおいに反応し、果物の香りに限らない幅広い応答を示しました。特定の受容体を失った影響は小さく、既知の受容体の反応の強さから単純には予測できませんでした。

人との比較では、強弱の順位は多くの組み合わせで一致しましたが、ヘキサン酸エチルなどの「似た香り」のまとまりには違いが見られました。香りを理解するときは、分子の構造だけでなく、受け取る側の嗅覚系と、どの行動・判断を測ったかにも目を向ける必要があります。

研究は米国NIHの研究費とMarco S. Stoffelの研究奨励金の支援を受けています。著者らは利益相反なしと申告しています。

**参考文献**

Keller A, Vosshall LB. Influence of odorant receptor repertoire on odor perception in humans and fruit flies. *Proceedings of the National Academy of Sciences*. 2007;104(13):5614–5619. [doi:10.1073/pnas.0605321104](https://doi.org/10.1073/pnas.0605321104). [著者所属機関の公開全文](https://www.rockefeller.edu/research/uploads/www.rockefeller.edu/sites/8/2018/09/KellerVosshallPNAS07.pdf).
