---
title: "生ごみのにおい、いちばん多い成分が主役とは限らない"
description: "7世帯の生ごみ排液を分析し、鼻でも成分を追った研究。ジアセチルがå ±通する候補となる一方、最も多い試料が最も強くにおうとは限りませんでした。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/household-garbage-odor-diacetyl-mixture/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
image: https://i0.wp.com/lechercheurdeparfum.com/wp-content/uploads/2026/10/thumbnail-1200x800-118.png?fit=1200%2C800&ssl=1
categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
---

# 生ごみのにおい、いちばん多い成分が主役とは限らない

生ごみのにおいを分析すると、大きな信号が出る成分と、人の鼻が「生ごみらしい」と感じる成分は、必ずしも一致しません。7世帯から集めた試料を調べた2020年の研究では、成分を一つずつ嗅ぐことで、ジアセチルなどがにおいに関わる候補として浮かびました。

しかも、ジアセチルが最も多い試料が、最も強くにおう試料ではありませんでした。家庭ごとに食材が違っても共通する成分を探しつつ、混合物としてのにおいの複雑さも見えた研究です。

## 7世帯の夕食で出た、生ごみの「排液」を集める

調査したのは、首都圏の7世帯で2018年5月14〜17日のうち各家庭で一日、夕食の調理開始から片づけまでに出た野菜くずや調理残渣です。野菜くず、肉、茶がらなどを水切りネットに集め、そこから水分だけを容器に採りました。一晩冷蔵してから実験室へ運び、A〜Gの試料として分析しています。

料理や食材、調味料、手で触ったかどうかには制限を設けませんでした。家庭ごとの違いを残したうえで、それでも共通して検出されるにおい成分を探すためです。たとえばAには野菜や果物、肉、茶がらなどが、Dにはショウガ、ネギ、レタス、キュウリ、ニンジン、豚肉が含まれていました。

排液1mLをバッグに入れて空気2Lを加え、25℃で静置しました。1時間後と24時間後にバッグ内のにおいを嗅ぎ、成分を捕集して分析しています。家庭のごみ箱全体の空気を、そのまま測った研究とは条件が異なります。

## いちばん強く感じたAを、装置と鼻で調べた

3人が試料を評価すると、24時間後のA、B、D、F、Gから生ごみを連想し、その中ではAが最も強く感じられました。そこでAを詳しく調べました。

通常のガスクロマトグラフィー質量分析では、1時間後も24時間後も、エタノールと酢酸エチルが大きなピークを示しました。24時間後には、検出された成分の種類と、ピーク面積の合計も増えていました。著者は微生物による発酵や分解で成分が変化した可能性を考えていますが、菌そのものを測った試験ではありません。

大きなピークの二成分だけでは、酸っぱい、発酵したような、生ごみらしい印象を十分に説明できない。そこで使ったのが、装置で分けた成分を人が順番に嗅ぐ「におい嗅ぎGC」です。

この評価は1人が行い、まず元の試料のにおいを覚え、分離された成分の中で似た特徴を感じた箇所を記録しました。その結果、ジアセチル、3-メチル-1-ブタノール、酢酸、イソ酪酸が、生ごみ臭に関わる候補となりました。分析信号が大きかったエタノールと酢酸エチルは、このにおい嗅ぎの記録では検知されていませんでした。

## 量だけでなく、「どれほど少量で嗅げるか」を考える

次に、候補となった四成分と、大きなピークを持つ二成分を定量しました。24時間後のAでは、酢酸エチル80ppm、エタノール55ppmに対し、ジアセチルは1.7ppmでした。ジアセチルの量は、前の二つよりかなり少なかったのです。

ところが、物質ごとに、においを感じ始める濃度は大きく違います。研究では、測定濃度を文献にある嗅覚閾値で割った「閾希釈倍率」を計算しました。どの成分が、測定された濃度で嗅ぎ取られやすいかを考える目安です。

Aのジアセチルでは、この値が34,000でした。エタノールは約110、酢酸エチルは約90です。ジアセチルは少量でも嗅ぎ取られやすいため、濃度だけを見る場合とは重要そうな成分の順番が変わりました。34,000という数値は、試料全体が34,000倍強くにおうという意味ではなく、ジアセチルの濃度が採用した検知閾値の何倍かを表します。

## 共通成分はあった。でも、最もにおう試料とは一致しない

Aで注目した成分を全7試料で調べると、ジアセチルは1時間後・24時間後のすべてで文献の検知閾値を超えていました。3-メチル-1-ブタノールや酢酸も多くの試料で見つかりましたが、一部の時点では不検出でした。イソ酪酸は24時間後のAだけで検出されています。

多くの試料ではジアセチルの閾希釈倍率が大きく、著者は、生ごみ臭の共通する土台になり得る成分と考えました。ただし、すべての試料で最大だったわけではありません。24時間後のCでは、3-メチル-1-ブタノールの値がジアセチルを上回っています。

さらに重要なのが、AとDの比較です。24時間後のジアセチルはAの1.7ppmに対し、Dでは6.2ppmで、Dの方が多くなっていました。それでも3人が最も強い生ごみ臭と選んだのはAでした。Aでは、3-メチル-1-ブタノールや酢酸の閾希釈倍率がDより高く、イソ酪酸も加わっています。

著者は、ジアセチルに他の成分が共存することで、全体の臭気強度が変わると推定しました。どれか一成分の濃度を知るだけでは、混合臭の強さを決めにくい、という結果です。成分を取り除いたり、同じ組成を再現して比べたりする検証は行われていないため、各成分の因果的な役割は次の課題になります。

## 同じ分子が、いつも「悪臭」とは限らない

原著の考察は、ジアセチルが発酵乳製品では好ましい香りとして扱われることにも触れています。今回も「ジアセチルは常に悪臭である」という話ではなく、生ごみ由来の混合物の中でどんな役割を持つかが問題です。発生の共通性については、食品に含まれる炭水化物と微生物の代謝から説明できる可能性を述べていますが、今回その経路を追跡したわけではありません。

報告には、読み取りに注意が必要な箇所もあります。結論は候補四成分を通常のGC/MSで検出できなかったと述べていますが、表3には三成分の信号が掲載されています。残る3-メチル-1-ブタノールも、表3の24時間後は不検出なのに、表4・5には定量値があります。そのため「装置では四成分とも見つからず、鼻だけが発見した」とは言い切れません。確かな要点は、大きな分析ピークだけを見ず、嗅いだ特徴と閾値を組み合わせて候補を検討したことです。

7世帯の各1日分の排液で、全体の官能評価は3人、成分ごとのにおい嗅ぎは1人という小規模な調査です。季節や食材が異なるすべての生ごみへ、そのまま当てはまるとは限りません。

## まとめ

家庭の生ごみ排液を調べた研究では、分析信号の大きなエタノールや酢酸エチルに加え、少量でも感じられやすいジアセチルなどが、生ごみらしいにおいの候補になりました。ジアセチルは全試料で検知閾値を上回り、家庭をまたぐ共通成分として注目されています。

一方、ジアセチルが最も多いDより、複数の候補成分を含むAの方が強くにおうと評価されました。においを理解するには、成分の量、その嗅ぎ取りやすさ、混ざったときの印象を合わせて見ることが大切だと分かります。

研究当時、著者は東京都立産業技術研究センターに所属していました。研究費の明示と、独立した利益相反声明は本文に見当たりません。

**参考文献**

佐々木直里（2020）「生活環境下における生ゴミ臭に寄与する臭気成分の探索」室内環境、23(2)、67–74。[原著論文](https://doi.org/10.7879/siej.23.67)
