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title: "バラらしい香りほど、心地よく感じる？"
description: "生花10品種の香りを19人が評価し、放出される成分と比較。バラらしさと快さの関係から、単一成分では説明しきれない混合の香りを探ります。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/fresh-rose-scent-perception-voc-mixtures/
date: 2026-10-12
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
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# バラらしい香りほど、心地よく感じる？

「バラの香り」と聞くと、どんな香りを思い浮かべるでしょうか。実際の花には、典型的なローズ調だけでなく、果実やレモンを思わせるものもあります。バラらしく感じる花ほど、心地よく、また嗅ぎたいと思われるのでしょうか。

Inès Adrarらは、生花のバラ10品種を人が嗅いだ評価と、花から放出される成分を比べました。2024年末にオンライン公開され、2025年の巻号に掲載された研究です。精油や単一の香料分子だけでは捉えにくい、生花の複雑な混合の香りを調べることが目的でした。

## 見た目を隠した花を、19人が評価

実験には、フランスのリヨン地域から18～35歳の20人が参加しました。10品種のうち2品種しか評価しなかった1人を除き、19人を解析しています。

花は、香りの特徴が幅広く異なるように選んだ10品種です。リヨンのバラ園で咲いた花を、不透明な容器に入れて中身を見えなくしました。参加者は、花の色や形を見ずに、香りだけを評価しました。

各試料を1分間、自由に嗅ぎながら、バラらしさ、快さ、もう一度嗅ぎたい気持ち、親しみ、強さ、果実らしさ、レモンらしさ、花らしさの八項目を評定しました。試料の順番は参加者ごとに無作為に変えています。

## バラらしさは、快さや親しみと関連

10品種は、バラらしく感じられる程度に違いがありました。さらに、参加者による評定の違いを考慮しても、バラらしさは、快さ、もう一度嗅ぎたい気持ち、親しみと正の関連を示しました。

快さとの相関係数は約0.25で、関連はあるものの、両者がほぼ同じ評価というほど強いものではありませんでした。バラらしさだけで、好き嫌いのすべてが決まるわけではありません。

一方、バラらしさと香りの強さには、統計的に明確な関連は見られませんでした。たくさん香る花が、必ずしも、より典型的なバラとして感じられるわけではなかったのです。

果実らしさは、バラらしさと負の関連を示しました。今回の参加者が思い浮かべる典型的なローズ調からは、果実調の強い品種が少し離れていた可能性があります。

## 生花から出る成分を、別に集めて分析

研究者らは、咲いた花から空気中へ放出される成分を集め、ガスクロマトグラフィー質量分析で調べました。これは成分を分離し、分子の特徴を調べる方法です。各品種で3～6回の生物学的反復を設け、合計97種類の揮発成分を検出しています。

測ったのは、花から実際に放出される成分です。花を蒸留して得た精油や、花びらを粉砕・加熱した抽出物の組成ではありません。

品種によって、出てくる成分の総量も、その内訳も違いました。成分の総量が多い品種ほど、香りが強く、親しみがあると評価される傾向がありました。ただし、この成分との対応は、10品種それぞれの平均的な値を比べたものです。化学分析を繰り返した回数を、そのまま独立した多数の品種として扱ってはいません。

## おなじみのローズ成分だけでは説明できない

バラの香りを考えるときには、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、フェニルエチルアルコールなどがよく挙げられます。しかし、今回の生花の比較では、これらだけで、どの品種がよりバラらしく感じられるかを説明できませんでした。

著者らが注目したのは、イオノン類と、オキシリピンと呼ばれる脂肪酸由来の成分群です。イオノン類には、ごく少量でもにおいに寄与し得る成分があります。オキシリピンには、青葉のような印象に関わる成分が含まれます。

今回の分析では、イオノン類の量や割合などが、バラらしさと関連する候補として浮かびました。また、オキシリピンに含まれるいくつかの成分も、バラらしさとの関係を検討する候補になりました。

コラム
バラらしさと関連した候補の一つは、ジヒドロβイオノンという成分でした。論文では、単独の香りはスミレや木、アンバー、果実などを思わせると紹介されています。バラを調べているのに、別の花や木の名前が出てくるのが面白いところです。

混ざった香りの中では、成分一つを嗅いだときの印象とは違う働きをする可能性があります。今回の結果は、その組み合わせを詳しく調べる手がかり。バラらしさを増す配合として確かめるには、成分を加えたり抜いたりする実験が必要です。

## 「この成分を加えれば快くなる」とは言えない

著者らは、心地よいバラの香りには、イオノン類、オキシリピン、フェニルエチルアルコールとその関連成分などの、量と割合のバランスが重要ではないかと考えています。フェニルエチルアルコールは、本文ではPEAと略される、ローズ調でよく知られた成分です。

ただし、この混合の説明は、まだ確定した調合レシピではありません。成分群の全体的な組成と快さとの関係は、量で調べた場合のp値が0.126、比率の場合が0.051で、一般的な5％の有意水準には届きませんでした。

さらに、個々の成分との相関は、品種数が10と少なく、調べる成分が多いため、統計的な有意性を検定していません。研究者らが設けた相関係数の目安を超えたものを、議論の候補として扱っています。

したがって、「三つの成分群が快さを高めると実証された」とは言えません。今回見つかった関連から候補を絞り、成分を加えたり取り除いたりして、人の評価がどう変わるかを次に確かめる必要があります。

## 混ざることで、成分の役割が変わる可能性

今回、モノテルペンという成分群は、典型的なバラらしさより、果実やレモンの印象と関連していました。この群には、単体ではバラを思わせるものもあります。

この結果を踏まえ、著者らは、花全体の香りを、定番の単一成分の印象の足し算だけで理解することには限界があると論じています。ある成分が別の成分を引き立てたり、目立ちにくくしたりすれば、混合したときの印象は変わり得ます。

生花に近い香りを再現する研究や、香りのよいバラを育種する場面でも、よく知られたローズ成分の量だけでなく、ほかの成分を含む組み合わせに目を向ける必要がある、というのが重要な帰結です。今回の比較は、その組み合わせを実験で調べるための候補を示しています。

## バラへの良い連想と、気分の改善は別

香りの評定をすべて終えた後、参加者は、バラのにおいから何を連想するかを自由に答えました。好ましい感情に関する表現や、化粧品、庭などの自然に関する連想が多く見られました。

これは、参加者がバラに持っていた記憶やイメージを調べたものです。実験の前後で気分がどれだけ改善したか、ストレスが減ったかを測った結果ではありません。生花の香りの健康効果を証明したと読むことはできません。

また、参加者はリヨン地域の若い成人19人、花は選んだ10品種です。典型的なバラにどんな香りを期待するかは文化や経験で変わり得るため、別の地域の人や、さらに幅広い品種でも確かめる必要があります。

研究はオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域の研究事業の支援を受け、バラ育種企業Meilland Internationalの参加・支援、リヨンの公園からの花材提供も謝辞に記されています。著者らは利益相反はないと申告しています。

## まとめ

見た目を隠した生花10品種の評価では、バラらしく感じる程度が、快さ、再び嗅ぎたい気持ち、親しみと関連していました。成分分析では、定番のローズ成分だけではなく、イオノン類やオキシリピンなどを含む組み合わせが、検証すべき候補として浮かびました。

研究の意義は、「バラのにおいを持つ分子」を探すことから、生花の混合物を人がどう受け取るかへ視点を広げた点です。相関を手がかりに成分の追加・除去実験へ進むことで、バラの香りの再現や育種、複雑な混合臭の知覚を理解する研究につながると著者らは考えています。

## 参考文献

Adrar, I., Hervé, M., Mantel, M., et al.（2025、オンライン公開2024年）. Why do we like so much the smell of roses: The recipe for the perfect flower. *iScience*, 28(2), 111635. DOI: [10.1016/j.isci.2024.111635](https://doi.org/10.1016/j.isci.2024.111635). [原著全文](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11804596/)。© 2024 The Author(s). Published by Elsevier Inc. 原著は[CC BY-NC 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/)で公開されています。
