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title: "におう服ほど菌が多い？素材で食い違った実験結果"
description: "男性5人が着た綿・羊毛・ポリエステルを28日間追跡。強くにおう布ほど菌が長く残るとは限らなかった結果から、素材と布の構造を考えます。"
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date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# におう服ほど菌が多い？素材で食い違った実験結果

脱いだ服のにおいが強いほど、布に生きた菌も多く残っているのでしょうか。綿・羊毛・ポリエステルを比べた研究では、この二つが同じ順番になりませんでした。ポリエステルは強くにおう一方、保存中の菌数は比較的速く減少。羊毛はにおいが弱いのに、一部の菌が長く残りました。

2007年の研究は、衣服に残る脇のにおいを、繊維の種類、編み方、保存中の菌数と結び付けて調べたものです。「菌を減らせば、布のにおいも同じように減る」という説明だけでは足りないことが見えてきます。

## 同じ人の脇で、九種類の布を比べる

試験に使ったのは、綿100％、羊毛100％、ポリエステル100％の布。それぞれにインターロック、リブ、天竺という三種類の編み方があり、計九種類です。抗菌などの加工をしていない布を事前に洗濯し、綿のTシャツの脇に縫い付けました。

着用者は18〜55歳の男性5人。座り仕事だけではない職業の人が、同じ試験用シャツを連続する二勤務日、それぞれ約8時間着ました。五つの着用期間を設け、各人が九種類の布を経験する構成です。試験前から制汗剤やデオドラントなどを控え、無香料の石けんを使うなど、においに影響しそうな条件も整えています。

着用後の布を小片に分け、20℃、相対湿度40％または65％で保存しました。1日後、7日後、28日後に、訓練した評価者13人がにおいの強さを評価。別の小片から菌を取り出し、一般的な好気性菌、コリネバクテリウム属、さらに脇のにおいとの関連が知られるその一群を、培地で育てて数えました。

ここで数えたのは、その抽出・培養条件でコロニーを作った菌です。においの評価と菌数を別々に測った点が、この研究の要になります。

## ポリエステルは強く、羊毛は弱くにおった

どの保存時点でも、においの強さはポリエステルが最も高く、羊毛が最も低く、綿はその間でした。着用者によって強さ自体は異なりましたが、素材の順番には共通した傾向がありました。

編み方にも手掛かりがありました。ポリエステルでは、薄く軽い天竺の布は、厚く重いインターロックやリブより弱くにおう傾向でした。著者らは、薄い布では皮膚由来の物質や分泌物が次の衣服層へ通り抜けやすく、布に残る量が少なくなる可能性を挙げています。物質の通過量を直接測った結果ではないため、これは構造差を説明する仮説です。

なお、保存日数の異なる布を同じ評価セッションで直接嗅ぎ比べたわけではありません。「28日後にも素材間の順位が見られた」と読むのが適切で、においの強さが一か月まったく変わらなかったとまでは言えません。

## 菌の残り方は、においの順番と逆方向だった

着用1日後の菌数には、三素材間で明確な違いがありませんでした。その後の減り方には差があり、ポリエステルでは培養できる菌数が比較的速く低下しました。綿では1日後と7日後の差は明確でなく、28日後に減少が見られました。

羊毛では減り方が小さく、一般的な好気性菌とコリネバクテリウム属全体には28日後までに減少が見られた一方、においに関係するコリネバクテリウムの一群は、三時点で明確な差がありませんでした。弱くにおう羊毛にも、菌が残っていたのです。

菌数は着用者や着用期間によっても変動しました。また、20℃で相対湿度40％と65％を比べた範囲では、どの培地の菌数にも湿度条件による有意差はありませんでした。この比較は限られた湿度範囲なので、濡れたままの衣服など別の条件まで含む結論ではありません。

素材によって菌を取り出しにくいだけではないか、という点も確認しています。追加試験で三素材の布に菌を付けて抽出したところ、用いた方法はどの素材でも有効と判断され、主試験の菌数に素材別の補正は加えられませんでした。

## 衣服のにおいには、菌数に加えて「布に何が残るか」が重要

この結果が示すのは、布から感じるにおいを、採取時点の生きた菌の多さだけで説明する難しさです。菌が以前に作ったにおい物質が残ることや、繊維が物質を取り込み、空気中へ放つ性質なども関わると考えられます。

著者らは、繊維の化学的な構造や物理的な形が、においの保持・放出に重要だと解釈しています。ただし今回の主測定は官能評価と培養菌数で、個々のにおい物質を化学分析して原因を確定したものではありません。羊毛の弱いにおいを、そのまま天然の抗菌作用の証拠にする読み方も、この結果には合いません。

男性5人の脇に付けた未加工の試験布という条件も大切です。実際の衣服では、混紡、仕上げ加工、厚み、重ね着、洗濯などが加わります。素材名だけであらゆる服のにおいを順位付けするより、繊維と布の構造を一緒に考えるための研究といえます。

## まとめ

綿・羊毛・ポリエステルの試験布では、ポリエステルのにおいが最も強く、羊毛が最も弱い一方、保存中の菌数はポリエステルで比較的速く減り、羊毛では一部の菌が長く残りました。さらに、薄く軽いポリエステルは厚いものより弱くにおう傾向がありました。

衣服のにおいを理解するには、「どれだけ菌がいるか」に加え、「どんな布が、においのもとをどう保持し、放出するか」を見る必要があります。この二つを分けて測ったことが、本研究の大きな収穫です。

原著の謝辞には、Designer Textiles Limitedによる布の提供が記されています。独立した研究資金・利益相反の申告欄は本文に見当たりません。

**参考文献**

McQueen RH, Laing RM, Brooks HJL, Niven BE. Odor Intensity in Apparel Fabrics and the Link with Bacterial Populations. *Textile Research Journal*. 2007;77(7):449–456. [doi:10.1177/0040517507074816](https://doi.org/10.1177/0040517507074816)
