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title: "芳香器を増やせば、香りも強くなる？"
description: "芳香器を増やすと空気中の成分は増えても、感じる強さは同じ割合では増えないかもしれません。電気式芳香器を0～5台で比べた研究は、測りやすい成分と、香りを感じさせる成分の違いにも目を向けています。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/electric-fragrance-diffusers-number-perception/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# 芳香器を増やせば、香りも強くなる？

部屋の香りをもっと強くしたいとき、芳香器をもう1台置けば、感じ方も同じだけ強くなるのでしょうか。2025年、Thomas Warburtonらは、コンセントにつなぐ液体式の芳香器について、空気中の成分量と人が感じる強さを同じ条件で比べました。

研究の狙いは、室内の空気と嗅覚の関係を一緒に捉えることです。著者らは、台数を増やしたときのにおいの変化や受け入れられる強さが、製品の使い過ぎを抑える可能性にも注目しました。ただし、実際の消費者が何台まで使うかを観察した研究ではありません。

## 部屋の空気を測り、別に人の感じ方を測る

使ったのは、同じ香料処方で、放出設定が固定された電気式芳香器です。小さな浴室を想定した約10立方メートルの部屋と、居間を想定した約34立方メートルの部屋に1～5台を置き、何も置かない条件も用意しました。両室には外気を取り入れる機械換気があり、1時間あたり部屋の容積の7.5倍に相当する空気を入れ替えていました。

機器を動かして24時間待ってから、72時間かけて空気を採取し、ガスクロマトグラフィーなどで成分を分離・測定しました。香料に由来する成分として中心にしたのは、α-ピネン、β-ピネン、γ-テルピネン、ベンズアルデヒド、p-シメン、ユーカリプトールの6種類です。論文の「香料由来VOCの合計」はこの6成分を対象にした値で、香りの成分すべてを測った総量ではありません。

人による評価は、小さい約10立方メートルの部屋で行いました。4～6か月の訓練を受けた評価者が、部屋に入らず小窓から香りを嗅ぎ、強さを0～100で採点しました。機器の台数と研究目的は知らせず、評価順序を調整し、同じ条件の繰り返しも含めています。大きい部屋でも同じ官能評価を行ったわけではありません。

## 成分の濃度は増えるが、感じる強さの伸びは小さくなる

台数を増やすと、測定された香料由来VOCの濃度は全体として増えました。同じ台数では、小さい部屋のほうが濃度は高くなっています。ただし、隣り合う台数を一つずつ比べたすべての差が統計的に明確だったわけではなく、台数全体を通した増加傾向と、個別の比較は区別する必要があります。

香りの強さにも増加はありましたが、その伸び方は次第に小さくなりました。0台と1台の平均評価の差は約25.4点、1台と2台では約8.7点、2台と3台では約2.2点でした。最初の1台を置いたときの変化が最も大きく、その後の1台追加がもたらす変化は小さくなったのです。

2台から3台、3台から4台、4台から5台という1台ずつの比較では、強さの有意な増加は見られませんでした。一方、2台と5台を比べると有意差があります。「2台を超えるとまったく変わらない」という完全な頭打ちではなく、追加した台数に見合うほどには強く感じにくくなる、という結果です。

## 測りやすい成分が、香りの主役とは限らない

もう一つの重要な結果は、空気中で定量できた揮発しやすい香料成分の濃度が、各成分を単独で嗅いだ場合の文献上の検出閾値を下回っていたことです。検出閾値とは、人がにおいの存在に気づける最低濃度の目安です。それにもかかわらず、評価者は芳香器がある部屋では香りを感じていました。

著者らは、今回の分析法では定量しにくい、揮発しにくく、ごく微量でも香る成分が知覚に大きく関わっている可能性を挙げました。候補には、香料処方中のγ-ウンデカラクトンやβ-カリオフィレンなどが含まれます。

これは、その成分を実際に空気中で定量して、香りへの寄与を一つずつ証明した結果ではありません。単体の検出閾値には個人差や測定法による幅があり、混合物の感じ方も単体とは限りません。それでも、測定しやすいモノテルペン類の濃度だけで、部屋の香りの強さを代表させることには限界がある、という問いを投げかけています。

## 使い過ぎを抑える可能性と、処方を変える可能性

強さの伸びが小さければ、さらに台数を増やす利点を感じにくくなり、使う人が追加を控えるかもしれません。これが著者らのいう、使用量がある程度自ら抑えられる可能性です。ただし、香りの好みや強さへの許容度も関わるため、実際に使用量が抑えられるかは、今後の行動研究で確かめる必要があります。

著者らはさらに、製品の香料処方への示唆を述べています。モノテルペン類などの反応しやすい成分は、室内のオゾンなどと反応して、別の気体成分や微粒子の生成に関わり得ます。もし香りの知覚への寄与が比較的小さい部分を減らせるなら、感じる香りを大きく損なわずに、二次的な汚染物質ができる可能性を抑えられるかもしれません。

この提案は、空気中の濃度と知覚が単純には対応しなかったことから導いた仮説です。モノテルペンを減らした新処方を作り、香りと空気質の両方が改善するかまで、この研究で実験したわけではありません。著者らは次の課題として、換気量を変えた試験や、より微量の低揮発成分を測れる分析法を挙げています。

## 台数の目安や、安全性を決める試験ではない

対象は一つの香料処方と機器、決められた室内条件です。訓練された評価者による試験で、論文本文には評価者の人数が明記されていません。すべての家庭、すべての香りで「2台が上限」になるわけではありません。

室内濃度のモデル計算では、狭さと換気の少なさが重なると濃度が上がり得ることも検討されました。著者らは、今回の条件で得た一部の濃度が既存の住宅測定や曝露指標と比べて低かったと論じていますが、健康影響の評価は研究範囲外としています。強く感じないことや、個別成分がにおいの検出閾値より低いことを、安全性の証明として扱うことはできません。

研究費はGivaudanとBath & Body Worksから提供され、両社の従業員が共著者に含まれます。論文では、独立性を保つために分析測定とデータ解析をヨーク大学が担当し、出版の自由に制限はなかったと説明しています。

## まとめ

この研究では、芳香器の台数を増やすと測定された香料由来VOCは増えましたが、人が感じる強さの増え方は小さくなりました。とくに2台以降の1台ずつの追加では、明確な強さの差が出ていません。

著者らがそこから見いだしたのは、使用量が自然に抑えられるかもしれないという行動上の仮説と、少ない放出量でも香りを保つ処方を考える余地でした。香りの働きを理解するには、空気中で測定しやすい成分の量だけでなく、どの成分が人に香りを感じさせているのかを合わせて調べる必要があります。

## 参考文献

Warburton, T., Lewis, A. C., Hopkins, J. R., Andrews, S. J., Yeoman, A. M., Owen, N., Jordan, C., Adamson, G., & Xia, B. (2025). An assessment of VOC emissions and human strength perception of liquid electric fragrance diffusers. *Environmental Science: Advances*, 4, 739–752. DOI: [10.1039/d4va00388h](https://doi.org/10.1039/d4va00388h) · [原著全文](https://eprints.whiterose.ac.uk/id/document/3563011)。

© 2025 The Author(s). Published by the Royal Society of Chemistry. [CC BY 3.0](https://creativecommons.org/licenses/by/3.0/)。
