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title: "同じ濃さの香りでも、暑さや湿気で感じ方は変わる？"
description: "トイレの悪臭と香料を、温度・湿度を変えて評価した研究。空気中の濃度をそろえると、暑さや湿気で強度評定は下がりました。快さや香料の働きも調べた模擬トイレ実験から、香りの評価にå¿ 要な条件を読み解きます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/climate-odor-perception-model-latrines/
date: 2026-10-12
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# 同じ濃さの香りでも、暑さや湿気で感じ方は変わる？

暑い日に、いつものにおいが違って感じられる。そんな変化には、空気中へ出てくる香りの量と、それを人がどう感じるかの両方が関わります。では、空気中の濃さをそろえても、温度や湿度で感じ方は変わるのでしょうか。

2018年、香料会社Firmenichの研究チームは、トイレの悪臭を和らげる香料の評価法を開発するなかで、この問いを調べました。**温度や湿度を上げると、においの強さの評定は低下しました。一方、快さやトイレに入りたい気持ちなどには、気候による有意な差は見つかりませんでした。**香料を加える量による変化も、同じ装置で確かめています。

## トイレを使いやすくする香りを、どう評価するか

研究の出発点は、衛生設備の利用を後押しすることでした。悪臭が強いと、トイレへ入ること自体がためらわれます。研究チームは、アフリカやインドの気候のもとでも心地よく感じられる、手頃な価格の清掃・芳香製品につながる香料を目指していました。

そのためには、香料だけを小瓶で嗅いでも十分ではありません。背景にトイレの悪臭があり、空気が流れ、暑さや湿気もある空間で、香りがどう働くかを調べる必要があります。ただし実際のトイレでは、悪臭の発生量や換気が刻々と変わり、香料同士を公平に比べることが難しくなります。

そこで作ったのが、**悪臭、香料、気流、温度、湿度を管理できる三つの模擬トイレ**でした。同じ条件を繰り返し作り、成分分析と人による評価を組み合わせることが、この研究の中心です。

## 三つの模擬トイレに、同じ背景の悪臭を流す

模擬トイレは1基あたり約1.7立方メートル。温度と湿度を変えられる部屋に置き、それぞれ毎時17立方メートルの空気が流れるようにしました。1時間におよそ10回、内部の空気が入れ替わる設定です。

悪臭は、ケニア・ナイロビのムクル地区にある尿分離式トイレでの分析をもとに再現しました。使ったのは、硫化水素、メタンチオール、酪酸、p-クレゾール、インドールの5成分。そこへ、社内で作ったフローラル調の香料を重ねました。

ここでは液体を室内へ置き、自然に蒸発するのを待ったわけではありません。加熱して蒸発させる装置とガスの供給装置を使い、決めた量を空気へ送り続けました。こうすることで、室温によって蒸発量が変わる影響をできるだけ切り離し、**濃度をそろえて提示したにおいの感じ方**に焦点を当てられます。

装置の確認では、3基それぞれの3か所から空気を採り、成分を測定しました。実測値は成分によって目標値の66〜138％で、目標と完全に一致したわけではありませんが、場所や模擬トイレの間のばらつきは比較的小さく、均一なにおいの環境を作れていました。空気中の成分をカートリッジに直接捕集する分析法も、この評価の仕組みを支えています。

## 22℃と35℃、湿度30％と80％で嗅ぎ比べる

気候は、温度22℃・35℃と相対湿度30％・80％を組み合わせた4条件に設定しました。比較したにおいは次の6種類です。

- 再現した悪臭だけ
- フローラル調の香料だけ
- 同じ悪臭に、香料を4段階の濃さで加えたもの

混合試料の香料濃度は、空気1リットルあたり0.18、0.54、1.62、4.9マイクログラム。悪臭の供給量を変えずに、香料を増やしたときの反応を調べました。

評価者はFirmenichの研究拠点の社員で、10回の評価セッションに各23〜30人が参加しました。これは「延べ何百人もの別々の人」を調べたという意味ではありません。各回で、快さ、なじみ深さ、強さ、糞便・トイレらしさ、入りたい気持ちを0〜10の尺度で答えました。

部屋へ入った直後と、3分間その気候に慣れた後の2回評価しましたが、この短い順応時間による有意な差はなく、二つの評価を平均して解析しています。最初と最後の確認セッションでも有意差は見つからず、評価の再現性が確かめられました。

## 暑さと湿気が変えたのは、主に「強さ」だった

においの種類をまとめた解析では、22℃より35℃のほうが、強さの評定は有意に低くなりました。温度による差は分散分析でp<0.0001。別の統計手法でも有意な結果でした。湿度を30％から80％へ上げたときにも、より小さいものの、強度評定の有意な低下が見られました。

この影響は、すべてのにおいで一様だったわけではありません。温度の影響には悪臭だけ、香料だけ、香料が最も濃い混合試料が主に関わり、湿度の影響は香料だけと最も濃い混合試料で目立ちました。また、温度と湿度を両方上げたからといって、強度がさらに有意に下がるとは確認されませんでした。

一方、**快さ、なじみ深さ、糞便らしさ、入りたい気持ちには、気候条件による有意な変化がありませんでした。**今回の結果では、「強く感じるか」と「好ましく感じるか」が、同じように動いたわけではないのです。

なぜ強度が下がったのかは、この研究だけでは決まりません。著者らは鼻の中での分子のふるまいや、温度と嗅覚の情報処理の関係を議論していますが、神経活動などを直接測って原因を確かめた実験ではありません。

## 香料を増やすと、悪臭の感じ方はどう変わったか

研究のもう一つの重要な結果は、香料の量と評価の関係です。香料濃度が高くなるにつれ、糞便らしさの評定は下がり、快さと入りたい気持ちの評定は上がる傾向が、有意な変化として示されました。快さと入りたい気持ちは強く対応し、両者の関係を表すモデルは、入室意向の評定のばらつきの約80％を説明しました。

興味深いのは、悪臭だけ、香料だけ、それらの混合物の間で、におい全体の強度に有意差は見つからなかったことです。全体のにおいを弱めなくても、糞便らしさや快さの評価が変わる場合がありました。ここで確かめているのは人が感じる悪臭の軽減で、悪臭成分の化学的な分解や、除菌の効果ではありません。

ただし、濃度ごとの数値を一本の滑らかな線として読むには注意が必要です。模擬トイレは3基、試料は6種類だったため、評価は二つの組に分けられました。一方には「悪臭だけ」、もう一方には「香料だけ」という基準になる試料が入っています。

その結果、**何と並べて嗅ぐかによって、香料の働きの評価も変わりました。**著者らも、二つの組をそのまま直接比較することはできず、濃度に応じた変化の傾向を見るべきだとしています。この実験は香料の効果を測る方法を示すと同時に、比較する試料の組合せをそろえる大切さも示しました。

## 日常の香りへ重ねるときに、そろえる条件

この研究を読む鍵は、空気中の濃度を管理していたことです。実際の芳香製品では、暑さによって香料が空気へ出る速さも変わります。今回の知覚強度の結果から、そのまま「夏は香水を強く感じない」「湿気があると肌上の香水が長持ちする」とは言えません。

また、試したのは特定の模擬悪臭とフローラル調の香料、企業内の評価者です。実際のトイレでは、においの分布も人の経験もさらに幅があります。入りたいという評定と、現地での実際の利用行動を分けて考えることも必要です。

それでも、条件をそろえた模擬空間には、製品を比べるうえでの利点があります。著者らはこの仕組みを、液体や粉末、香料を含ませた素材など、香りを放出する方法の評価にも使えるとしています。香料を選ぶことに加え、必要な濃さで空間へ届けられるかを調べるための土台です。

著者4人は全員、当時Firmenichの研究開発部門に所属していました。研究費はFirmenichとBill & Melinda Gates Foundationが等しく負担し、同財団の衛生設備改善プロジェクトに関連する研究として実施されています。

## まとめ

模擬トイレで空気中のにおいの濃度をそろえると、温度や湿度の上昇によって強度評定は下がりました。一方、快さや糞便らしさ、入りたい気持ちには、気候による有意差は見つかりませんでした。香料を増やす比較では、糞便らしさが弱まり、快さや入室意向が高まる傾向も捉えられました。

香りを役立てるには、何の香りをどれだけ加えるかに加え、背景の悪臭、気流、気候、比較の仕方までそろえて見ることが大切です。この研究は、そうした条件を管理して、トイレ用香料の働きを成分と感覚の両面から評価する方法を示しています。

**参考文献**

- Chappuis, C. J.-F., Huber, R., Niclass, Y., & Starkenmann, C. (2018). Simulating latrine conditions to assess perfume performance against malodour. *Flavour and Fragrance Journal*, 33, 313–321. [DOI・原著論文](https://doi.org/10.1002/ffj.3450)。[出版社の公開全文](https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ffj.3450)。
