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title: "脇のにおいに「金属っぽさ」が混ざるのはなぜ？"
description: "脇のにおいから見つかった金属・キノコ様の成分。鉄と脂肪é ¸の反応で生まれる仕組みと、植物抽出物による生成抑制を調べた研究を紹介します。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/axillary-odor-iron-fatty-acid-oxidation/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["香りと体・環境"]
type: post
lang: ja
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# 脇のにおいに「金属っぽさ」が混ざるのはなぜ？

脇のにおいを成分ごとに嗅ぎ分けると、酸っぱいにおいなどに交じって、キノコや金属を思わせる強いにおいが現れました。2003年の研究は、その候補となる微量成分を調べ、脂肪酸と鉄の反応で同じ種類の成分が生まれることを実験室で確認しています。

研究は、においの原因を探す段階に加え、生成反応を調べ、植物抽出物でその反応を抑えるところまで進みました。脇のにおいを、微生物による分解だけでなく、脂質の酸化という面から捉えた研究です。

## 66人の脇のにおいを、特徴と強さで分類

男性66人が無香料のボディソープで体を洗い、脇に無臭化処理したガーゼを縫い付けたTシャツを24時間着ました。研究者はガーゼに集まったにおいを評価し、クミンのようなスパイス系、酸っぱいもの、カビ様、ミルク様、グリーン系の五つに大別しました。

酸っぱいタイプが最も多く、クミン様のタイプは強いにおいでした。ただし、いくつかの特徴が重なる人もいます。五つの箱に人をきれいに分けるというより、脇のにおいにある幅を整理した分類です。

この中から、特徴がはっきりしてにおいの強かった4人の試料を詳しく分析しました。ガーゼから揮発する成分を集める方法と、溶媒で抽出する方法を用い、ガスクロマトグラフィーで成分を分け、質量分析と人によるにおい嗅ぎを組み合わせています。

## 微量でも目立つ、金属・キノコ様の成分

分析では約60成分が同定されましたが、研究者が注目したのは、4人すべての試料で嗅ぎ取れた、特徴的な二つの箇所です。一方は1-オクテン-3-オン、論文での略称OEOと質量分析で確認されました。金属やキノコのような特徴を持つ物質です。

もう一方の有力候補は、金属・カビ様のにおいを持つシス-1,5-オクタジエン-3-オン、ODOでした。こちらは人から採った試料の質量分析では同定できませんでしたが、性質の異なる分離カラムを使っても、標準品と同じ位置に同じにおいが現れたことが根拠になっています。原著の結論は二つをまとめて扱っていますが、人体試料での同定の確かさにはこの違いがあります。

二つとも少量で強く感じられる物質です。成分分析で大きなピークにならなくても、においには目立つ働きをすることがあります。実際、五つのにおいタイプは分析装置で見る全体のパターンがよく似ており、著者らは微量成分の違いが印象の違いにつながると考えました。

## 鉄が脂肪酸の酸化を進める、という仮説を試す

研究者は食品の金属様の異臭に関する先行研究などから、不飽和脂肪酸と鉄の反応に着目しました。そこで、リノール酸またはリノレン酸に鉄を加え、40℃で1時間反応させるモデル実験を行いました。

その結果、リノール酸からOEOが、リノレン酸からODOが生成することを確認しました。OEOは3価の鉄より2価の鉄を使った方が多く生じました。また、試した範囲では鉄の量を大きく変えても生成量はあまり変わらず、リノール酸が多いほどOEOが多くなりました。著者らは、鉄は材料として大量に使われるというより、反応を進める触媒として働くと解釈しています。

化学的には、長い脂肪酸の分子が酸化され、その一部が切れることで、揮発しやすい小さな分子ができるという説明です。論文はこの考え方に沿った反応経路を提示しています。

鉄の測定に用いた男性3人の全身の汗では、いずれも約10ppbの鉄が測定されました。これにより汗に鉄が存在することと、鉄・脂肪酸のモデルで候補物質ができることが結び付きます。ただし、実際の脇の上で反応を追跡した実験ではなく、各人の鉄量とにおいの強さの関係を調べた結果でもありません。

## 酸化を抑えると、におい物質の生成も減った

次の目的は、この生成経路を抑えることでした。研究者はまず、リノール酸を50℃で酸化させ、酸化の指標が一定量に達するまでの時間を測り、植物抽出物の抗酸化作用を比較しました。クワ、ワレモコウ、ドクダミの抽出物は、その到達を長く遅らせました。

この三つを、鉄とリノール酸からOEOを作るモデルでも比較しています。抽出物を加えない対照を100とした場合、クワの根皮から得た抽出物では、OEOの生成量の指標がおよそ30になりました。ドクダミとワレモコウも対照より低く、クワは図に示された中で最も低い値でした。比較用の酢酸トコフェロールよりも低くなっています。

図は3反復の結果で、群間の統計検定は記載されていません。著者らはクワ抽出物を有望と評価し、含まれるフラボノイド類の働きを考察しましたが、どの分子がどの段階に作用するかは今後の課題としています。ここで確かめたのはモデル反応での生成抑制で、クワ入りの防臭剤を人に使って比較した試験ではありません。

## 著者が提案した「酸化臭」と「分解臭」

著者らは、微生物の活動に伴って増えるにおいを「分解臭」、脂質の酸化から生まれるOEOなどを「酸化臭」として、時間経過を含む考え方を提案しました。酸化臭は汗をかき始めたときのツンとする印象に関わり、後になると微生物由来のにおいも加わる、というモデルです。

原著には24時間後のにおいへの寄与を約2割とする推定もありますが、今回の報告は、その割合を直接切り分けて測る検証を示していません。この研究から持ち帰れるのは、一つの割合や万人共通の時間表よりも、脇のにおいに複数の生成経路を考える視点です。

## まとめ

66人の脇のにおいを調べた研究は、特徴の強い4人の試料から金属・キノコ様のOEOを確認し、ODOも有力な候補として見いだしました。さらに、鉄と不飽和脂肪酸のモデル反応でこれらが生成し、クワ根皮などの抽出物を加えるとOEOの生成が低下しました。

著者らが示したのは、においを感じた後に覆うだけでなく、脂質が酸化してにおい物質になる段階に働きかけるという研究の道筋です。人体試料の分析、生成反応のモデル、抑制素材の探索をつないだ点に、この論文の意義があります。

研究当時、著者4人はライオン、4人は高砂香料工業に所属していました。独立した研究資金・利益相反の声明は本文に見当たりません。

**参考文献**

飯田悟・一ノ瀬昇・五味哲夫・染矢慶太・平野幸治・小倉実治・山崎定彦・櫻井和俊（2003）「体臭発生機構の解析とその対処（1）―腋臭に関与する鉄の影響と抗酸化剤の防臭効果―」日本化粧品技術者会誌、37(3)、195–201。[原著論文](https://doi.org/10.5107/sccj.37.3_195)
