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title: "体臭が少ない遺伝型でも、においは生まれる？"
description: "ABCC11の三つの型を、脇のにおい、前駆体、揮発成分、菌群、使用習æ £から比較。低い臭気評点と、残るにおいの経路を調べた研究です。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/abcc11-axillary-odor-pathways/
date: 2026-10-14
modified: 2026-10-14
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# 体臭が少ない遺伝型でも、においは生まれる？

脇のにおいに関わる遺伝子として知られるABCC11。その一つの型では、におい成分のもとになる物質が少なくなります。では、実際に人が嗅いでも、ほとんどにおわないのでしょうか。

2014年の研究は、遺伝型、訓練された人によるにおいの評価、皮膚の成分、細菌、製品の使用習慣を合わせて調べました。結果は、**A/A型の脇のにおいはほかの型より弱いものの、人が感じ取れる程度にはあり、短鎖脂肪酸も検出される**というものでした。

## 遺伝子から成分、実際のにおいまでをつなぐ

ABCC11は、細胞から物質を運び出すタンパク質に関わる遺伝子です。論文が調べたのは、ある位置のDNAの文字がGかAかという違いで、両親から受け継いだ組合せによりA/A、G/A、G/Gの三つの型に分けました。

この違いは耳垢の性状にも関連し、A/A型では、脇のアポクリン腺から出るにおいの前駆体が少ないことが先行研究で知られていました。前駆体とは、そのまま強くにおうのではなく、皮膚の細菌などの働きによって、揮発するにおい成分へ変わる材料です。

今回の研究の問いは、材料の少なさが、人に感じられるにおいの弱さにどこまで対応するかでした。さらに、別の材料から生まれるにおいや、細菌の構成、日常の手入れとの関係も調べています。

## 三つの遺伝型から25人ずつを選んだ

フィリピンのマニラで18〜40歳の女性200人を最初に調べ、164人の遺伝型と質問紙を解析しました。内訳はA/A型46人、G/A型87人、G/G型31人です。その中から各型25人、計75人を無作為に選び、詳しい測定を行いました。

募集では耳垢の性状を確認し、乾いた耳垢の人が60人に達した後は、その性状の人を追加で採用していません。このため、三つの型の人数比を、そのまま地域全体の遺伝型の頻度として読むことはできません。

においの測定では、統一した方法で脇を洗い、5時間後と24時間後に、左右の脇を6人の訓練評価者が0〜5で採点しました。評価者に遺伝型を知らせず、4日連続で調べています。

## A/A型のにおいは弱いが、知覚できる

洗浄5時間後の平均評点は、A/A型2.59、G/A型3.26、G/G型3.21でした。24時間後は、それぞれ2.60、3.40、3.50です。どちらの時点でもA/A型はほかの二つの型より有意に低く、G/A型とG/G型の差は有意ではありませんでした。

著者は、A/A型の評点も、他者がにおいを感じ取れる水準だったことを重視しています。特定の前駆体が少ないことと、脇から生じるにおい全体がなくなることは、同じではなかったのです。

## 少ない前駆体と、どの型にもある短鎖脂肪酸

皮膚を水で洗って集めた試料を液体クロマトグラフィーと質量分析で調べると、A/A型ではHMHAと3M2Hというにおい成分につながる二つの前駆体が少なくなっていました。ただし、これらは完全に消えていたのではなく、少量は検出されています。硫黄を含む3M3SHにつながる前駆体は、A/A型では検出されませんでした。

幅広い皮膚代謝物のパターンを比べる分析でも、A/A型と、Gをもつ二つの型は分かれる傾向があり、その違いには上記の二つの前駆体が大きく関わっていました。

次に、脇の皮膚から揮発成分を吸着するパッチで採取し、ガスクロマトグラフィーなどで分析しました。A/A型では、対象とした含硫成分や3M2Hが検出されず、G/A型・G/G型では多くの人から検出されました。

一方、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸などの短鎖脂肪酸は、三つの型すべてで検出され、検出頻度に違いは見られませんでした。これは量が同一だったという意味ではありませんが、**ABCC11に関わる特定の前駆体以外にも、においが生まれる経路がある**ことを支持します。

著者は、汗や皮膚に由来するアミノ酸などを細菌が分解してできる脂肪酸が、A/A型でも感じられたにおいの主な候補だと考察しました。各成分を除いて嗅ぎ比べる試験ではないため、個々の成分の寄与率までは確定していません。

## 菌の種類と、製品を使う習慣も関連していた

皮膚の細菌群では、ブドウ球菌属、コリネバクテリウム属、アネロコッカス属が大きな割合を占め、共通する菌群も多く見られました。その中でA/A型は、Gをもつ型よりブドウ球菌属の割合が低く、コリネバクテリウム属の割合が高いという違いがありました。アネロコッカス属の差は有意ではありませんでした。

においに関わる菌の割合が高ければ、必ずにおい全体も強い、とは単純に対応していません。著者は、菌の構成の違いに加え、菌が利用できる前駆体の量が重要だと考えています。今回測ったのは群間の関連で、菌を入れ替えてにおいがどう変わるかを試したものではありません。

164人への質問紙では、普段から制汗剤またはデオドラントを使うと答えた割合は、A/A型50％、G/A型86％、G/G型97％でした。著者は、自分のにおいへの気付きが使用習慣に関わる可能性を挙げました。

ただし、使用理由には汗の管理、好み、社会的な習慣なども関わります。自分のにおいをどれほど正確に認識していたかを直接測ってはいないため、遺伝型が使用行動を決めるとまでは言えません。

## 一つの遺伝型で、においの全体像は決まらない

この研究は、一地域の女性を対象にした比較です。遺伝子を操作した実験ではなく、年齢、生活環境、手入れなどが異なる集団へ、数値をそのまま広げることには限界があります。

論文は、ABCC11の違いが、特定の前駆体、菌群の構成、製品使用と結び付くことを示しました。同時に、脇のにおいには複数の材料と経路があり、一つの遺伝的特徴で無臭か有臭かを二分できないことも明らかにしています。

## まとめ

A/A型では、G/A型・G/G型より脇のにおいの平均評点が低く、特定の前駆体や揮発成分も少ない結果でした。それでも、においは人が感じ取れる水準で、短鎖脂肪酸は三つの型すべてから検出されました。

皮膚の菌の構成や製品使用の割合にも関連がありました。体のにおいを考えるには、遺伝子だけでなく、分泌される材料と細菌の働きを合わせて見る必要がある。成分分析と実際に嗅ぐ評価を結び付けたことが、この研究の大きな意味です。

研究当時、著者の多くはUnileverに所属し、Watersと臨床試験会社の所属著者も参加していました。原著の資金欄はこれらの雇用関係を開示し、資金提供者がデータ収集や原稿作成に直接関与しなかったと記しています。独立した利益相反欄は確認できませんでした。

**参考文献**

Harker M, et al. Functional characterisation of a SNP in the ABCC11 allele—Effects on axillary skin metabolism, odour generation and associated behaviours. Journal of Dermatological Science. 2014;73(1):23–30. [原著論文](https://doi.org/10.1016/j.jdermsci.2013.08.016)。
